アデファガ(甲虫亜目)とは?水生と地上の捕食甲虫の特徴・分類
アデファガ(甲虫亜目)の水生・地上の捕食甲虫の特徴と分類を図解で解説。生態・防御・進化の違いをわかりやすく紹介。
アデファガは、甲虫類の亜目です。10科で40,000種以上が記録されており、カブトムシ目の中では2番目に大きな亜目にあたります。多くは中型から大型の甲虫で、形態や生態は陸生から水生まで多様です。
この亜目の甲虫類には、地面の甲虫、虎の甲虫、潜水の甲虫、そして渦巻きの甲虫が含まれます。種類数としては特にオサムシ類が多く、全体の大部分がオサムシ科に属しています。外見や生活様式は科ごとに大きく異なり、捕食に特化した形態を持つ種が多いのが特徴です。
アデファガは、共通の起源をもつ2つの主要なグループに分けられます。Hydradephaga(主に水生の甲虫)と Geadephaga(主に地上性の甲虫)です。両グループともに一般に捕食性で、成虫・幼虫ともに他の昆虫や水中生物を捕えて食べます。両グループの最初の化石は三畳紀にまでさかのぼる記録があり、古くから多様化してきたことがわかっています。地面を主な生活場とする種の多くは、強力な化学的防御を備えており、尾端にある分泌腺(ピジディアル腺)から刺激性の化学物質を噴出します。特に有名なのはボンベイムシ(爆撃甲虫)で、高温の化学混合液を噴射して捕食者を撃退します。
形態と識別のポイント
- 頭部は前方に突出し(プログナース)、咀嚼(そしゃく)に適した強い顎を持つ種が多い。
- 多くの陸生種は細長い体形と発達した脚で素早く走る。一方、水生種は後脚が櫂(かい)状に肥厚しており、泳ぐのに適している。
- 渦巻き(Gyrinidae)など一部の水生種は、上眼と下眼に分かれた複眼をもち、水面上と水中を同時に観察できる特殊な構造を持つ。
生態と行動
- 多くが肉食性で、他の昆虫、幼虫、小さな無脊椎動物を捕食する。水生種は水中の小動物を捕らえる。
- 水生アデファガは呼吸のために空気を保持して泳ぎ、体の下に空気の泡を抱いて長時間潜水できる種がある。
- 成虫だけでなく幼虫も活発な捕食者で、幼虫期に成長して体長が大きくなる種が多い。
主要な分類群(代表的な科)
アデファガは約10科からなるとされ、代表的なものには次のような科があります(学名を併記)。
- オサムシ科(Carabidae)— 種数が最も多く、陸上の捕食者として重要。
- 潜水甲虫科(Dytiscidae)— 水中で泳いで捕食する大型の水生甲虫。
- 渦巻き甲虫科(Gyrinidae)— 水面を旋回しながら餌を探す小型の水生甲虫。
- その他、Haliplidae、Noteridae、Hygrobiidae、Amphizoidaeなど水生・半水生の科が含まれる。
化石記録と進化
アデファガの化石は三畳紀の地層から見つかっており、古くから多様化していたことが示唆されています。形態的には古生代後期から中生代にかけて今日みられる多様な生活様式(陸生・水生・高速捕食など)に分化したと考えられています。
防御機構(化学防御)
多くの地上性オサムシ類は尾端の分泌腺を使って、敵に対して刺激性の化学物質を放出します。中でもボンベイムシ(爆撃甲虫)は、分泌された前駆物質を腺内で激しく反応させ、熱いベンゾキノン類混合液を噴出して捕食者を撃退するという、非常に特殊で有効な防御戦略を持っています。
生息域と分布
アデファガは世界中に広く分布し、北極圏近くから熱帯雨林、乾燥地、淡水域まで非常に幅広い環境に適応しています。陸上の種は森林床や草地、砂地などに多く見られ、水生種は池沼、河川、湿地など淡水域に生息します。
生態系での役割と人間との関係
- アデファガは食物網の中で重要な捕食者として働き、害虫の天敵になる種も多い。
- 水生種は水質指標生物として用いられることがあり、環境モニタリングで注目される。
- 一部の地域では生物多様性保全の対象となっている種もある。
保全と脅威
分布域の破壊(森林伐採、湿地の埋め立て)、水質汚染、気候変動などがアデファガの生息を脅かしています。特に水生種は水環境の悪化に敏感なため、生息地保全や水質改善が重要です。保全のためには生息地の保護、汚染源の管理、外来種対策などが求められます。
まとめると、アデファガは形態・生態が多様で、陸上・水中双方で捕食者として重要な役割を担う甲虫群です。化学防御や水中適応などユニークな進化を遂げており、生態系の健全性を示す指標にもなります。

アデファガ
質問と回答
Q:アデファーガとは何ですか?
A: 甲虫亜目の一つです。
Q: アデファーガ亜目には何種類いるのですか?
A: 10科40,000種以上が記録されています。
Q: アデファーガ亜目の甲虫にはどのようなものがありますか?
A: アデファーガ亜目の甲虫には、地虫、トラ虫、潜水虫、旋毛虫などがいます。
Q: アデファーガ亜目の中で一番大きな科は何ですか?
A: アデファーガ亜目最大の科は、オサムシ科です(別名:地虫)。
Q: アデファーガ亜目の由来は何ですか?
A: アデファーガ亜目には、ヒドラデファーガ(水上甲虫)とゲデファーガ(地上甲虫)という共通の起源を持つグループが存在します。
Q: アデファーガ亜目の主な特徴は何ですか?
A: アデファーガ亜目の主な特徴は、捕食性であることです。
Q: 地虫の特殊な防御機構は何ですか?
A: 地虫には特殊な扁桃腺があり、この扁桃腺から高温で燃えるような化学物質を噴出し、防御する仕組みがあります。クマムシは、攻撃者に向けて不快な化学物質を噴出することで有名です。
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