三畳紀は、中生代の最初の地質時代で、約5060年続きます。開始は2億5190万年前(約251.9Ma)、終了は2億130万年前(約201.3Ma)とされ、中生代の扉を開いた時代です。

三畳紀の前の時代は古生代の最後の時代であるペルム紀で、ペルム紀末の大量絶滅(P–Tr大量絶滅)を受けて生物群集が壊滅的打撃を受けた直後の回復期として始まりました。三畳紀の後にはジュラ紀が来ている。

三畳紀には、恐竜や最初の哺乳類など、多くの新しいグループが誕生し、生態系の枠組みが大きく書き換えられました。以下に、時代の特徴を整理します。

地球の様相(古地理・気候)

  • パンゲア大陸:大陸は一つにまとまったパンゲアを形成しており、内陸部は広い乾燥地帯になっていました。沿岸部や内海は地域的に発達しました。
  • 気候:三畳紀前期は高温で乾燥した環境が広がり、徐々に中期〜後期にかけて変動して湿潤化する地域も現れました。季節変動や強いモンスーン的循環が想定される地域もあります。
  • 火山活動と環境変化:ペルム紀末の大量絶滅後の復興過程や、三畳紀末の大量絶滅(ジュラ紀への移行時)には、火成活動(たとえばCAMP:中央大西洋マグマ活動)が関与したと考えられています。

地質区分

  • 三畳紀は一般に前期(Early)・中期(Middle)・後期(Late)の3区分に分けられます。各期に応じて代表的な堆積層や化石群が異なり、生物相の大きな変化が見られます。

生命の回復と多様化

  • 大量絶滅からの回復:ペルム紀末の壊滅的打撃の後、三畳紀前期に生物群集は徐々に回復し、新たな生態ニッチを占めるグループが台頭しました。
  • 脊椎動物の多様化:古い単弓類(シナプシダ)系統の衰退を背景に、主竜類(アーコサウルス類)が陸上支配的地位へと拡大し、最終的に恐竜が主要な陸上脊椎動物として台頭していきます。
  • 海洋生物:アンモノイド(化石でよく知られる頭足類の仲間)は三畳紀に急速に多様化し、魚類や二次的に水に適応した爬虫類(イクチオサウルスなど)も発展しました。

三畳紀の主要な生物群

  • 恐竜の起源と初期放散:三畳紀中〜後期に小型の原始的な恐竜が出現し、多様な系統(獣脚類・竜脚形類の祖先など)へと分化しました。代表的な初期恐竜にはEoraptorやHerrerasaurusなど(南米の地層)が知られます。
  • 哺乳類の祖先と最初の哺乳類:シナプシダ(哺乳類型爬虫類)の一部から進化したシノドン(チンギリ類・コイノドン類など)や、三畳紀後期に現れたごく小型の原始的「哺乳類」に相当するグループが登場します(初期の歯形や顎の構造にその痕跡)。
  • その他の爬虫類:ワニ類に近い系統や翼竜(プテロダクティル類)の原始的な仲間、海棲爬虫類(イクチオサウルス、ノトサウルス類など)が海と陸で多様化しました。
  • 植物相:被子植物はまだ出現しておらず、針葉樹やソテツ類(シダやソテツ型の植物)、イチョウ類などの裸子植物が陸上植生を支配していました。
  • 無脊椎動物:アンモノイドや一部のサンゴ・スポンジ類による浅海生態系の回復・発展が見られます。

代表的な化石産地と重要標本

  • アルゼンチンのイシュワラスト(Ischigualasto)層や、チンレ層(アメリカ南西部)、ニューワーク層群(北米)など、三畳紀の多様な陸成化石が得られる重要な産地があります。
  • 代表的な属・標本:Eoraptor、Herrerasaurus、Plateosaurus(原始的な竜脚形類に近い大型の草食恐竜)、Coelophysis(細身の二足肉食恐竜)、Eudimorphodon(初期の翼竜)など。

終末 — 中生代への移行

  • 三畳紀末(約2億130万年前)には大規模な種の消失が起き、これがジュラ紀への移行を促しました。原因としては大規模な火山活動(CAMPなど)による気候変動や海洋酸素欠乏などが提案されています。
  • この大量絶滅により、恐竜は多くの生態的地位を占めることになり、ジュラ紀を通じて地球上の主要な陸上動物群として繁栄していきます。

総じて、三畳紀は古生代から中生代への大きな転換期であり、生物群集の再構築と新しい主要群の登場(恐竜や初期哺乳類、各種海棲爬虫類など)が進んだ時代です。地球環境の大変動と生物進化が強く結びついた重要な地質時代といえます。