『悪魔の詩』(小説)――概要、テーマ、論争
サルマン・ラシュディによる1988年の小説。魔術的リアリズム、寓意、イスラム教初期の出来事をめぐる論争的な再話を織り交ぜる。文学界で評価される一方、国際的な大論争と表現の自由をめぐる議論を引き起こした。
概要
『悪魔の詩』は、サルマン・ラシュディが1988年に発表した小説である。現代の移民をめぐる物語と、イスラム教初期の歴史上の出来事を想起させる、夢幻的で寓意的な場面とを織り交ぜている。本作はしばしばポストモダン小説と評され、魔術的リアリズム、風刺、メタフィクションの技法を組み合わせながら、アイデンティティ、宗教、記憶、亡命・離散の経験を考察する。ラシュディは、不気味な変容と自己の再創造を描く挿話を通して、個人と共同体の変化を枠づけている。
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3 画像形式と主題
本書は、ロンドンに住む二人のインド人国外居住者の人生と、宗教的伝承に由来する素材を部分的に虚構化し、再構成した幻視的なエピソードとを交互に描く。構成上、この小説は断片化、視点の移動、そして大がかりな喜劇から強烈な道徳的・神学的省察へと移る頻繁な調子の変化を用いる。繰り返し現れる主題には、啓示の性質と権威、名前とアイデンティティの不安定さ、移住によって生じる混淆性、ならびに信念や政治的生活を形づくる物語の力がある。
歴史的参照と論争のある素材
小説の一つの筋は、預言者ムハンマドに関する初期の歴史記録の一部に見られる、「悪魔の詩節」と呼ばれることのある物語に基づいている。この出来事の史実性と解釈は、何世紀にもわたり議論されてきた。ラシュディは、これらの素材を学術的な主張としてではなく、想像的に再構成するための着想として扱っている。読者や批評家は、題名が意図的に論争のある解釈上の伝統を想起させること(悪魔の詩節を参照)、また本作の聖なる歴史との関わりが記録的なものではなく、虚構的かつ論争的なものであることを指摘している。
論争と反応
刊行後、イスラム世界の一部と多くの個々のムスリムは、小説中の一部の箇所を冒涜的、または宗教的感情を害するものだと表現した。1989年、当時イランの最高指導者であったアヤトラルーホッラー・ホメイニーは、本書に責任を負う者たちに対する処罰的行動を求めるファトワーを出した。このファトワーは文学上の論争を国際的な外交・安全保障上の危機へと変え、その発出は、宗教的命令が国境を越えて執行されうるのか、また執行されるべきなのかをめぐる議論を生んだ。
暴力、法的・文化的な影響
この論争は、本書に関係する人々を標的とした暴力をもたらした。翻訳者と出版社関係者が襲撃され、日本語訳者は1991年に殺害され、イタリア語訳者は同じ月に重傷を負い、ノルウェーの出版社関係者は暗殺未遂を生き延びた。この出版社関係者への襲撃未遂はオスロで起き、論争的な素材を出版する人々が負う個人的危険への関心を高めた。これらの出来事をめぐる議論では、国家による保護、庇護、そして擁護活動の限界という問題が前景化した。
検閲、禁止と国際法
この論争への対応として、一部の政府や機関は管轄地域内で小説の販売を禁止または制限し、その結果、検閲とアクセスの状況は世界各地で多様な様相を呈した。この事例は、表現の自由の範囲、出版社の責任、そして国内法および国際法の下で著作者、翻訳者、書店員に与えられる保護をめぐる議論の参照点となった。文学作品は不快感を与えうるとしても法的制裁を必要としないと論じる論者がいる一方、出版上の判断がもたらす安全保障上の帰結を考慮すべきだと強調する論者もいた。
受容と遺産
論争にもかかわらず、この小説はイギリスなどで大きな文学的評価を受け、批評家はその野心と形式上の創意を称賛した。1988年にはブッカー賞の候補に選ばれたが、同年の同賞はピーター・ケアリーの『オスカーとルシンダ』に授与された。時を経ても本書は、その語りの戦略、信念とアイデンティティへの問いかけ、そして20世紀後半の文化的・政治的対立における役割という観点から研究され続けている。
学術的応答と継続する議論
研究者はこの小説を複数の視点から扱ってきた。すなわち、その文体と構造の文学分析、作品が参照する資料をめぐる歴史的探究、そしてそれが生んだ論争についての法的・倫理的研究である。研究ではしばしば、ラシュディによる素材の想像的な援用と、歴史的事実についての主張とが区別される。多くの研究は本作を、ポストコロニアル文学、ディアスポラ研究、ならびに公共生活における世俗主義と宗教の政治をめぐる、より広範な対話の中に位置づけている。
参考文献と背景
- 著者とその文学的経歴については、サルマン・ラシュディに関する資料を参照。
- 特定のエピソードに着想を与えた歴史記録の背景については、ムハンマドに関する概説書、および悪魔の詩節の伝承を論じる文献を参照。
- 論争に関する法、 人権、表現の自由の観点については、ファトワー、国家の対応、国際的反応を扱う分析を参照。
- 論争に関連する襲撃と脅迫については、ノルウェーその他の国での出来事に関する当時の報道を参照。これには、オスロでの事件、および暗殺未遂として報じられた襲撃未遂が含まれる。
関連項目
著者
AlegsaOnline.com 『悪魔の詩』(小説)――概要、テーマ、論争 Leandro Alegsa
URL: https://ja.alegsaonline.com/art/98779
出典
- wsu.edu : The "Satanic Verses"
- news.bbc.co.uk : "Ayatollah sentences author to death"
- iranfocus.com : "Iran says Rushdie fatwa still stands"