スプリームス(The Supremes)は、 アメリカの女性歌手グループで、モータウンの看板的存在として1960年代に国際的な人気を博しました。もともとは1959年にミシガン州デトロイトで「プリメッツ」として結成され、結成当初はダイアナ・ロス、メアリー・ウィルソン、フローレンス・バラード、ベティ・マクグラウンらがメンバーでした。彼女たちは後にモータウン・レコードのもとでレコーディングを行い、モータウンのサウンドを象徴するグループとなりました。音楽的にはドゥーワップやポップス、ソウル、さらに時代が進むとディスコでも知られる幅広いレパートリーを持っていました。
スプリームスはモータウン内で最も商業的に成功したグループの一つであり、アメリカ史上でも屈指の成功を収めた女性ボーカル・グループです。彼女たちはビルボード・ホット100で12曲のナンバー1シングルを記録し、多くのヒット曲は当時のモータウンの主要な作詞・制作チームであるホランド=ドジャー=ホランド(Holland–Dozier–Holland)によって書かれ、プロデュースされました。1960年代半ばの絶頂期には、ビートルズに匹敵しました。彼らの成功は、その後のアフリカ系アメリカ人のR&Bやソウル系アーティストがメインストリームで活躍する道を切り開きました。
結成とメンバー変遷
- 1959年:デトロイトでプリメッツとして結成。初期メンバーにはフローレンス・バラード、メアリー・ウィルソン、ダイアナ・ロス、ベティ・マクグラウンが含まれる。
- 1960年〜1961年:ベティ・マクグラウンの脱退に伴いバーバラ・マーティンが加入し、1961年にグループ名をスプリームス(Supremes)にしてモータウンと契約。1962年初頭にマーティンが脱退し、以後は三人組で活動を続けた。
- 1967年:モータウン社長のベリー・ゴーディ(Berry Gordy)はプロモーションの一環としてグループ名をダイアナ・ロス&ザ・シュプレームスに変更。フローレンス・バラードは同年グループを離れ(事実上解雇され)、代わりにシンディ・バーソング(Cindy Birdsong)を起用した。
- 1970年:ダイアナ・ロスがソロ活動のために脱退し、ジーン・テレル(Jean Terrell)がリードを務めるなど新体制へ。1972年以降はさらにラインナップの変更が続き、リンダ・ローレンス、シェリー・ペイン、スージー・グリーンらが参加した。
- 1977年:グループは正式に解散。
代表曲とヒット
1964年から1967年にかけての一連のヒットで国際的な人気を確立しました。代表的なシングルには次のような曲があります:
- Where Did Our Love Go (1964)
- Baby Love (1964)
- Come See About Me (1964)
- Stop! In the Name of Love (1965)
- Back in My Arms Again (1965)
- I Hear a Symphony (1965)
- You Can't Hurry Love (1966)
- You Keep Me Hangin' On (1966)
- Love Is Here and Now You're Gone (1967)
- The Happening (1967)
- Love Child (1968)
- Someday We'll Be Together (1969)
ステージとイメージ作り
スプリームスは単に音楽だけでなく、ゴージャスな衣装、洗練されたダンスと振付、艶やかなボーカル・アレンジで知られました。モータウンはメンバーに対してマナーや立ち居振る舞いの訓練を行い、プロモーションやテレビ出演で映えるイメージ作りを徹底しました。振付担当のCholly Atkinsらによる洗練されたステージ・パフォーマンスは、当時のポピュラー音楽界における女性グループ像を決定づけました。
受賞・評価・遺産
- スプリームスは1960年代のポップ/ソウル界で比類なき成功を収め、当時のポップ・チャートを席巻しました。
- 彼女たちの功績はその後のブラック・アーティストのメインストリーム進出に大きな影響を与え、音楽史における重要な存在として評価されています。
- 後年、オリジナル・メンバーの功績は様々な名誉や殿堂入りに結びつき、幅広い世代から再評価されています。
その後の動向
解散後も各メンバーは個々に活動を続けました。ダイアナ・ロスは大成功を収めるソロ歌手兼女優となり、メアリー・ウィルソンはソロ活動や回顧録の執筆、公演活動を通じてグループの歴史を語り継ぎました。フローレンス・バラードは晩年に不遇な時期を過ごし早逝しましたが、スプリームス時代の功績は現在でも高く評価されています。
スプリームスは単なるヒットメーカーにとどまらず、ファッション、ステージ演出、黒人女性の存在感をポピュラー文化の中心に押し上げた影響力の大きいグループでした。代表曲は今なおラジオや映画、CMなどで使われ続け、そのサウンドは現代のポップ/ソウル系アーティストにも受け継がれています。

