変圧器(トランス)とは?仕組み・種類・用途をわかりやすく解説

変圧器とは何かを図解と例でやさしく解説。仕組み・種類・家庭や電力網での用途、選び方や安全ポイントまで一挙紹介。

著者: Leandro Alegsa

変圧とは、ある電気回路から別の電気回路へ、相互(電磁誘導)を介して、周波数の変化なしに電気エネルギーを転送する装置のことです。変圧器は電気システムの重要な部分です。

変圧器には、ステージマイクに内蔵された非常に小さなカップリングトランスから、電力網で使用される数百MVAを運ぶ大型ユニットまで、様々なサイズのものがあります。

トランスを使う主な理由は、ある電圧レベルの電力を別の電圧レベルの電力にするためです。高い電圧の方が長距離を送りやすいですが、オフィスや家庭では電圧が低い方が簡単で安全です。変圧器は、回路内の交流(AC)電圧を増減させるために使用されます。変圧器は通常、同じコアの周りに2つのコイルで構成されています。一次コイルまたは入力コイルは供給側に接続され、二次コイルは負荷に電力を供給します。二次コイルは出力コイルと呼ばれています。エネルギーは、電磁気によって一次側から二次側に伝達されます。電力網では、多くの変圧器が使用されています。これらは、発電機から電力を供給し、ユーザーに電力を供給するためのネットワークです。

近所の電柱にある変圧器や、地中の電線に接続されている変圧器は、通常、7,200ボルトの高電圧を220~240ボルトの電気に変換して、家庭や企業の照明や冷蔵庫などの電化製品に電力を供給しています。アメリカなどの国によっては、家庭で120ボルトなどの異なる電圧を使っているところもあります。変圧器は電力を増やすことができないので、電圧を上げればそれに比例して電流が下がります。電圧を下げれば電流は比例して増えます。

電子機器内部の変圧器は、様々な部品が必要とする電気の種類を提供しています。

変圧器にはいくつかの基本的な種類があります。

仕組み(原理)

変圧器は交流(AC)の磁束を利用してエネルギーを伝える装置で、直流(DC)では動作しません。一次巻線に交流電圧を加えると、コア内に時間変化する磁束が生じ、それが二次巻線に電圧を誘起します。この関係は巻線の巻き数比(ターン比)で支配されます。

基本式(理想変圧器):

  • 電圧比:V1 / V2 = N1 / N2(Vは電圧、Nは巻数)
  • 電流比:I1 / I2 = N2 / N1(電圧が上がれば電流は下がる)
  • ほぼ成り立つ関係:入力電力 ≒ 出力電力(損失を除く)
これらの式からも分かるように、変圧器は電力量(ワット)自体を増やすことはできませんが、電圧と電流の比を変えることで送電や利用に適した形に変換します。

主な種類(用途や構造別)

  • 降圧トランス(Step-down):高電圧を低電圧に変換し、家庭や事務所で使う電源を得るために使います(例:配電用変圧器)。
  • 昇圧トランス(Step-up):発電所などで発生した電圧を送電に有利な高電圧に上げます。
  • 絶縁トランス(Isolation):一次と二次が電気的に絶縁されており、安全性やノイズ除去のために使われます。
  • 自己変圧器(Autotransformer):一次・二次で一部巻線を共有する構造で、小型・軽量ですが完全な絶縁はありません。
  • 計器用変圧器(CT/VT):電流や電圧を測定・保護機器に適したレベルに変換するための変圧器(例:電流変成器、電圧変成器)。
  • 三相変圧器:三相交流のまま扱う構造。配電系では中心的役割を果たし、結線方式(スター/デルタ)によって用途が分かれます。
  • コアの種類別:ラミネート鉄心(一般的な配電や電力用)、トロイダル(巻線効率が高くノイズが少ない)、空芯(高周波用)など。
  • 冷却方式別:油入(油中で冷却)や乾式(空冷)など。大容量のものは油冷+強制空冷(ONAN, ONAF等)を採用します。

用途(身近な例と産業での役割)

  • 発電所→送電:昇圧して長距離送電、受電側で降圧して配電
  • 家庭・商業ビル:電柱や地中の配電変圧器で家庭用電圧に降圧
  • 電子機器:電源ユニット内の小型トランスが各部の必要電圧を供給(信号用の絶縁も含む)
  • 産業機械:モーター駆動や計測システムのための特殊な変圧器
  • 保護・計測:CTやPTを使って系統の監視や保護継電器へ信号を送る

性能・損失・効率

変圧器の主な損失は以下の2種類です:

  • 鉄損(核心損):ヒステリシス損と渦電流損。コアの材料や積層(ラミネーション)で低減します。
  • 銅損(巻線損):巻線の抵抗によるジュール熱損失。負荷電流に比例して増えます。
効率は通常高く、中〜大型の電力用変圧器なら95〜99%程度に達しますが、負荷や設計、冷却方式で変わります。

安全・メンテナンス・設置上の注意

  • 絶縁と接地:適切な絶縁とアース接続は感電や漏電の防止に不可欠です。
  • 過電流保護:短絡や過負荷に対してヒューズや遮断器で保護します。
  • 油の管理(油入変圧器):絶縁油の絶縁耐力や含水、分解生成物のチェックが必要です。
  • 温度管理:過熱は寿命を縮めるため、温度監視や適切な冷却を行います。
  • 定期点検:タップチェンジャー、ブッシュ、接続部、絶縁油などの定期検査で障害を未然に防ぎます。
  • 設置環境:湿気や塩害、腐食性ガスのある場所は特別な対策が必要です。

よくある誤解

  • 「変圧器は電力を作る」→ 誤り。変圧器は電力の位相・電圧・電流の割合を変えるだけで、全体のエネルギーを増やすことはできません。
  • 「直流にも使える」→ 誤り。通常の変圧器は交流でのみ動作します(直流では磁束が定常になり誘起電圧が発生しない)。

変圧器は電力系統と電子機器の両方で不可欠な機器です。小型から大型まで多様な種類があり、それぞれ設計・運用上のポイントがあります。用途に応じた種類の選定、適正な設置・保守が安全で安定した電力供給に直結します。

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質問と回答

Q: トランスフォーマーとは何ですか?


A: トランスとは、ある電気回路から別の電気回路へ、相互(電磁誘導)により、周波数の変化なく電気エネルギーを伝達する装置です。

Q: トランスを使用する主な理由は何ですか?


A: トランスを使用する主な理由は、ある電圧レベルの電力を別の電圧レベルの電力に変換するためです。

Q: トランスはどのようにエネルギーを伝達するのですか?


A: トランスは、電磁気学によって、供給側に接続された1次コイルまたは入力コイルから、負荷に電力を供給する2次コイルにエネルギーを伝達します。

Q: 変圧器は送電網のどこで使われているのですか?


A: 送電網では、発電機からユーザーへ電気を供給するために多くの変圧器が使用されています。

Q: 変圧器はどのようにして家庭や企業の電圧レベルを調整するのですか?


A: 近隣にある変圧器、電柱にある変圧器、地下の電線に接続されている変圧器は、通常7,200ボルトの高圧を220~240ボルトの電気に変換し、家庭や企業の照明や冷蔵庫などの家電製品に電力を供給しています。国によっては、120ボルトなど異なる電圧を使用している場合もあります。

Q: 変圧器は電力を増やすことができますか?



A:いいえ、変圧器は電力を上げることはできません。電圧を上げれば電流は比例して下がり、電圧を下げれば電流は比例して上がります。

Q: トランスの基本的な種類にはどのようなものがありますか?


A:ステージマイクのカップリングトランス、送電網に使われる数百MVAの大型トランス、電子機器の内部で各部に必要な電力を供給するトランスなど、基本的なトランスの種類はいくつかあります。


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