概要:キリル文字の Yo(Ё、ё)は、見た目は二点符号(ダイアーシス)付きの E で、ラテン文字では通常「yo」と表される母音を示す。ロシア語とベラルーシ語の正書法でよく知られており、単なる Е とは異なる発音を示す。

音価と正書法上の役割

音声的には、Ё はしばしば子音の前にある i 系の滑り音と o の並び [jo] を表す。語頭や母音の後ではこの形で現れ、子音の後では口蓋化した子音に続く o、しばしば [ʲo] と表記される形を示す。実際にはロシア語で強勢のある音節を示す役割もふつう持ち、語のアクセント位置を読み取りやすくする。

例と対立

  • ёлка — 「yolka」(モミの木)
  • ёж — 「yozh」(ハリネズミ)
  • всё と все — 「vsyo」(すべて)と「vse」(みな、複数)という対立の例で、Ё が意味を変えることがある
  • ещё — 「eshchó」または「yoshchó」と転写されることがあり、通常は ё で書かれる

Е との区別:Ё は Е と関係があるが、別の発音を示す。印刷物ではダイアーシスが省略され、Ё が E に置き換えられることが多い。読者は文脈から意図された音を推測するのが普通である。ただし、辞書、教育用資料、そして曖昧さが生じるおそれのある文章では、ダイアーシスが保持される。

アルファベット上の位置、歴史、符号化

現代ロシア語アルファベットでは、Ё は一般に Е の後に置かれる文字として扱われる。歴史的には、異なる母音の質と、それに先行する子音の口蓋化作用を示す必要から生まれた。コンピューティングやタイポグラフィでは専用のコードポイントがあり、Unicode では U+0401(Ё)と U+0451(ё)で表される。ローマ字転写は、方式によって「ë」または「yo」と表されることが多い。

組版上・実用上の注意:Ё の使用は、厳密な規則というより文体や慣例の問題であることもある。著者や出版社は、簡略化や見た目の理由でダイアーシスを省く場合があり、その結果、まれに曖昧さが生じる。正確な読みや発音が重要な場面、たとえば辞書、語学教材、法的文書では、通常 Ё が示される。その有無は発音、意味、強勢に影響するため、見た目は Е に似ていても重要な文字である。