Elisabeth "Betsy" DeVos(旧姓Prince、1958年1月8日生まれ)は、ミシガン州出身のアメリカの億万長者実業家、慈善活動家、教育活動家である。2017年2月7日より第11代、現アメリカ合衆国教育長官を務めている。デボスは、学校選択とバウチャー・プログラムの提唱で知られている。

2016年11月23日、ドナルド・トランプ次期大統領の次期政権において、デボス氏が教育長官に指名されることが発表された。2017年2月7日、アメリカ合衆国上院において、マイク・ペンス副大統領が同数を破り、五分五分の投票により、彼女の就任が承認された。

生い立ちと学歴

デヴォスはオランダ系移民の家庭に生まれ、父親のエドガー・プリンスは自動車部品メーカーを創業して成功を収めた。地元の私立キリスト教大学であるCalvin College(カルヴァン大学)で学び、卒業後は実業・慈善活動の分野で活動を始めた。実家の財産と結婚後の資産を背景に、教育分野への寄付や支援を行うようになる。

政治活動と慈善活動

共和党の地方組織での活動を経て、デヴォスはミシガン州の政治や全国的な保守系教育改革運動で影響力を持つようになった。具体的には次のような役割や関与が知られている。

  • ミシガン州共和党の役職経験(地方組織での活動や幹部としての関与)
  • 学校選択やチャーター・スクール、バウチャー制度を推進する団体への資金提供と理事職(例:保守系の教育改革団体への支援)
  • 家族の財団を通じた地域や教育関連の寄付活動

教育政策と主張

デヴォスは「学校選択(school choice)」を強く主張し、公立一辺倒ではなく、親が子どもの教育機関を選べる仕組みの拡充を訴えてきた。具体的には、次の政策を支持している。

  • 教育バウチャー(公的資金を私立学校や家庭に割り当てる仕組み)の導入・拡大
  • チャーター・スクール(自治的な公的資金による学校)の拡充
  • 連邦政府の役割を縮小し、州・地方や民間セクターの裁量を拡大する方向の規制緩和

支持者はこれらを「選択肢の拡大」として評価する一方、批判者は「公立教育の財政的基盤が弱まり、格差が拡大する」と懸念を示している。

就任と在任中の主な動き

長官在任中(2017–2021年)には、連邦教育省の方針見直しや規制緩和、学校選択の推進に重点を置いた。オバマ政権時代に整備された一部の指針(例えばキャンパスでの性暴力対応に関するガイダンスやトランスジェンダー学生に関する暫定的な指導など)について、再検討や撤回を行ったこともあり、教育現場や市民団体の間で議論を呼んだ。

批判と論争

デヴォスの指導力や政策には強い賛否がある。主な批判点は以下の通りである。

  • 公立学校での教職経験がないことを理由に、現場理解が不足していると指摘された。
  • バウチャーやチャーター拡大が私学や営利教育機関に利益を与え、公立学校の資金を奪うとの懸念。
  • 家族や関係団体との利益相反の可能性についての指摘や倫理上の懸念。

辞任とその後

デヴォスは2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を受けて、翌1月7日に辞任を表明し、長官職を離れた(辞任は2021年1月8日付で効力を生じた)。辞任後は慈善活動や教育支援活動に戻り、学校選択をめぐる運動や地域の教育支援に引き続き関与している。

私生活

私生活では、実業家の家族と結婚しており、数人の子どもがいる。夫はデヴォス家の事業に関わる人物で、ミシガン州政界にも関与してきた。家族としての資産と財団を通じ、地域社会や宗教・教育分野への寄付を継続している。

評価と影響

デヴォスは教育政策の方向性に大きな影響を与えた人物として評価される一方で、政策の影響や実効性については学者、教育者、市民の間で意見が分かれている。彼女の推進した学校選択や市場原理の導入は、アメリカの教育制度に関する長期的な論争をさらに活性化させた。

(注:この記事は主要な経歴・政策・論争点をまとめたもので、詳細な出来事や年次の表記については専門の伝記資料や公的記録を参照してください。)