トゥルシー・ガバード(Tulsi Gabbard)は、1981年4月12日生まれのアメリカの政治家。もとは民主党に所属しており、2013年から2021年1月までハワイ州第2選挙区のアメリカ合衆国下院議員を務めました。2016年2月28日まで民主党全国委員会の副委員長を務め、2016年の大統領選でバーニー・サンダース上院議員を支持するために同職を辞任したことでも注目されました。

出自と経歴

ガバードはアメリカ領サモアのレロアロア(Leloaloa)で生まれ、ハワイで育ちました。サモア系の血を引き、また熱心なアメリカのサモア人コミュニティの一員として知られます。公職に就いた経歴の中で、アジア系や島嶼(とうしょ)系の代表として存在感を示し、議会における多様性を象徴する人物の一人です。

下院議員として

2012年の選挙で下院に選出され、以後複数期にわたりハワイ州第2区を代表しました。下院議員としては、軍人・退役軍人支援、環境保護、地方経済振興、司法改革などを重視する一方で、対外政策では大規模な軍事介入や「政権交代」を目指す介入主義に批判的な立場を取ることが多く、その発言や行動が国内外で注目されました。

軍歴と先駆性

ガバードはハワイ州の州兵であるハワイ陸軍州兵(Hawaii Army National Guard)に所属し、複数回の海外展開を経験した現役・元軍人です。このため、ヒンドゥー教徒として初めての米国議会議員であると同時に、女性の戦闘経験者として議会に入った先駆者の一人でもあり、タミー・ダックワース上院議員と並んで「初の女性戦闘員の議員」の一人として紹介されることがあります。

外交・政策上の論争

在任中、ガバードはイラクやシリアなどでの米国の関与に対する批判的立場を明確にし、2017年にはシリアを訪問してバシャール・アル=アサド大統領と会談したことが大きな注目と議論を呼びました。こうした行動は支持者からは独自の外交観を示す勇気ある行為と評価される一方、対立する立場からは慎重さを欠くとの批判も受けました。

大統領選(2020年)と下院退任

ガバードは2019年1月に2020年の大統領選挙への出馬を表明しました。2019年10月25日には、同年の下院選で再選を目指さないことを発表し、議会での活動を続けつつ大統領選に集中する意向を示しました。しかし、2020年3月19日に予備選から撤退し、その時点で大統領候補争いから降りた後、同日にジョー・バイデン氏への支持を表明しました。下院議員としての任期は2021年1月に終了しました。

人物像と評価

ガバードは島嶼出身の有色女性、ヒンドゥー教徒、軍の経験者という稀有なバックグラウンドを持ち、多様性の象徴として注目されてきました。同時に、外交や安全保障における独自の見解や行動は賛否を呼び、メディアや政界で活発な議論を喚起しました。支持者は「原則に基づく独立した政治家」と評価し、批判者は「ポピュリズム的」や「過度に単独行動的」と評することがあります。

(注:本稿は主な経歴と公的活動の概要を示したものであり、詳細な投票記録や政策の細部については公式記録や出典を参照してください。)