概要

シンデレラは、伝統的な童話をもとにしたミュージカル作品で、とくに Cendrillon, ou La petite pantoufle de verre をはじめとする シャルル・ペロー のフランス版に着想を得ている。この作品は、作詞・脚本を担当した オスカー・ハマースタイン2世 と、作曲家 リチャード・ロジャース の共同作業によって生み出された。最初から舞台公演としてではなく、テレビ向けに書かれたミュージカルとしては最もよく知られた作品のひとつであり、ロジャースの流麗な旋律と、ハマースタインの人物描写や情感への重視が結びついている。

成立と初回放送

このミュージカルは CBS ネットワークから委嘱され、1957年3月31日にテレビ特番として初放送された。放送版では、若き ジュリー・アンドリュース がタイトル・ロールを演じた。テレビという形式により、ネットワーク特番が重要な文化イベントであった時代に、幅広い視聴者が全編のミュージカルを体験できるようになった。

音楽、楽曲、構成

スコアは、親密なソロ、明るいアンサンブル曲、ロマンティックなデュエットを織り交ぜている。レパートリーに残った楽曲には、主人公の内面を映す内省的なソロである「In My Own Little Corner」、抒情的なアンサンブル曲の「A Lovely Night」、恋心を見つめるデュエットの「Do I Love You Because You're Beautiful?」、そして憧れと変化の感覚を担う楽観的な番号「Impossible」がある。テレビ用の構成は比較的簡潔で、舞台版では観客向けに場面、振付、オーケストレーションを拡張することがある。

初期上演と舞台化

テレビ初演ののち、この作品はロンドンのコロシアム劇場で舞台上演され、1958年12月18日に開幕した。この移行版では、テレビ用脚本を実演向けに作り直し、舞台の環境に合わせて演出と振付を変更しつつ、ハマースタインの台本とロジャースのスコアは維持された。

1965年のテレビ版リメイク

CBSネットワークはカラーのテレビ版リメイクを制作し、1965年2月22日に放送した。この版では、シンデレラ役をレズリー・アン・ウォーレンが演じ、王子役にはスチュアート・ダモンが起用されたほか、ウォルター・ピジョン や セレステ・ホルム といったベテラン俳優も脇を固めた。リメイク版は、1960年代のテレビ制作水準や配役の感覚の変化を反映している。

ブロードウェイとその後の再演

もとはテレビ作品であったが、このミュージカルは多くの舞台向けに翻案され、最終的には2013年3月3日に注目すべき初演をもってブロードウェイに到達した。現代の上演では、元のテレビ台本を拡張し、振付や大編成のオーケストレーションを加えたり、現代の好みに合わせて場面を再構成したりしながら、スコア自体は保つ傾向がある。この作品は、地域劇場、学校、コミュニティ団体にとっても人気の高い演目であり続けている。

配役と創作面

初回のテレビ版では、音楽的な力量と画面映えの両方を備えた出演者が選ばれた。長年にわたり多くの上演で、スペクタクルと親密さのどちらに重きを置くかが変化してきた。豪華で伝統的な演出を好む上演もあれば、より人物中心で控えめな表現を目指すものもある。演出家や振付家はしばしば、作品の規模に合わせて童話的モチーフを再解釈している。

評価と遺産

シンデレラは、テレビ向けに明確に書かれた二大巨匠の高水準な共同作業の例として、アメリカのミュージカル劇史において重要な作品である。楽曲は、特定の上演形態から独立して生き続け、録音やポピュラーなミュージカル曲集にも収められてきた。この作品が持つ家族向けの親しみやすさと、わかりやすい物語性は、複数のメディアをまたいで再解釈されながら、レパートリーに残り続ける助けとなっている。

研究・上演・資料

親しみやすい物語と人気の高いスコアのため、このミュージカルはアマチュア団体や教育機関、専門劇団によっても広く上演されている。上演や研究に関心のある人は、ライセンス付き資料や出版譜を参照できる。また、ロジャースとハマースタインに関する批評研究では、この作品が二人の作品群の中で占める位置や、20世紀中葉の放送娯楽における意味も論じられている。上演史や歴史的受容の文脈については、アメリカのテレビ・ミュージカルや作曲家たちの経歴を概観する資料 (Broadway and musical theatre resources) を参照するとよい。

音楽の聴きどころ

  • 「In My Own Little Corner」 — 主人公の心情を示すキャラクター・ソング。
  • 「A Lovely Night」 — 抒情的な魅力を持つアンサンブル曲。
  • 「Do I Love You Because You're Beautiful?」 — 惹かれ合う気持ちを描くデュエット。
  • 「Impossible」 — 希望と変化を歌う軽快なナンバー。

さらに読む・録音

オリジナル放送の録音や、各種プロダクションのキャスト・アルバムは、スコアの保存に役立ってきた。批評的な論考では、この作品は、ミュージカル劇の語法をテレビへ持ち込もうとした20世紀半ばの他の試みと並べて論じられることが多く、ハマースタインとロジャースの、よく知られた舞台作品を超えた幅を示す例としてもたびたび言及される。