Citizendium:ラリー・サンガー創設の実名制・専門家承認型オンライン百科事典
ラリー・サンガー創設のCitizendium:実名制・専門家承認で運営されたウィキ型オンライン百科事典の理念、歴史、衰退を解説。
Citizendium(Citizens' compendiumの略)は、ラリー・サンガーが2007年に立ち上げた英語版のウィキベースのオンライン百科事典です。特徴は参加者に対する実名登録の義務と、学識のある人物に与えられる専門家承認の仕組みです。編集者が作成した記事は、Creative Commons Attribution 3.0 Unported Licenseの下で公開され、出典表示を条件に再利用できます。2013年10月時点でCitizendiumには約16,500の記事があり、そのうち149件が「承認(approved)」された状態にあると報告されていました。
主な特徴
- 実名ポリシー:参加者は本名でアカウントを作成し、自分が実在することを示す手続き(身元や所属の確認)を行う必要があります。匿名編集を許す一般的なウィキとは対照的です。
- 専門家の役割:学識や専門的資格を持つ編集者には特別な地位が与えられ、記事の「承認(approved)」を行うことができます。承認された記事は安定版として扱われ、一般版よりも信頼性が高いことが期待されます。対立が生じた場合、専門家が最終判断を下す権限を持つこともあります。
- 構造:Citizendiumは単なる記事群ではなく、関連項目を整理するサブページや「関連記事(Related Articles)」の構成など、百科事典としての体系化にも力を入れていました。
運営と資金
ウェブサイトを運営するためのサーバー維持費やドメイン費用などの経費が発生します。プロジェクトを継続するには、メンバーによる寄付や、Citizendiumに資金提供する団体・組織を見つける必要がありますが、安定した資金源の確保は常に課題でした。
歴史と経緯
ラリー・サンガーは、Wikipediaにおける匿名編集や検証性の問題に対する代替を目指してCitizendiumを創設しました。初期には専門家の参加を得て急速に注目を集めましたが、厳格な実名・承認ルールや編集手続きの煩雑さが成長の障害になる面もありました。
衰退と現状
その後の活動は縮小傾向にあり、活発な編集者数は大幅に減少しました。2017年11月の更新時点では、月に1回以上編集を行うコントリビューターは5人程度にとどまっていたと報告されています。組織上の役職も流動化し、最後のマネージング・エディターはアンソニー・セバスチャンでしたが、2016年にその職が空席となっています。こうした状況は、資金不足、参加障壁、Wikipediaなどの既存大規模プロジェクトとの競合が重なったためと考えられます。
評価と課題
- 利点:実名制と専門家承認によって信頼性を高めようとした点は評価されます。承認済み記事は安定版として参照しやすいメリットがあります。
- 問題点:実名登録や厳密な承認プロセスが参加のハードルとなり、ボランティアの獲得・定着を妨げた側面があります。また、記事数や露出でWikipediaに大きく差をつけられ、一般利用者や執筆者を引きつけるのが難しかったという指摘があります。
まとめ
Citizendiumは「実名と専門家承認」を柱に据えた百科事典プロジェクトとしてユニークな試みでしたが、参加の敷居や資金面、競合との関係など複数の要因により成長が停滞し、活動は縮小しました。とはいえ、オープンな知識共有のあり方をめぐる議論に影響を与えた点では重要な事例であり、学術的・実務的な観点からの検討材料を提供しています。
質問と回答
Q:Citizendiumとは何ですか?
A: Citizendiumは、2007年に開始された英語版ウィキベースのオンライン百科事典です。
Q: Citizendiumを利用するために必要なことは何ですか?
A: Citizendiumを利用するためには、自分の名前を使い、自分が本物であることを証明するためにアカウントを申請する必要があります。
Q: Citizendiumの編集者が作成した記事には、どのようなライセンスがあるのですか?
A: Citizendiumの編集者が作成した記事は、Creative Commons Attribution 3.0 Unported Licenseの下にあります。
Q: Citizendiumが始まった当初、専門家にはどのような特別な地位が与えられていたのでしょうか?
A: Citizendiumが始まった当初、エキスパートには特別なステータスが与えられていました。彼らは記事を「承認」することを許され、百科事典の内容をめぐって対立が生じたときに、誰が正しいかを決定することができました。
Q: 2020年現在、Citizendiumでは「専門家」の方針は変わっていないのでしょうか?
A:2020年現在、かつての「専門家」ポリシーは、ウィキの会員数が少なすぎて実施できないこと、効果がないと判断されたことから、宙に浮いています。すべての書き手は平等に扱われます。
Q: どうすればCitizendiumは活動し続けられるのでしょうか?
A: Citizendiumが活動を続けるには、メンバーが寄付をするか、Citizendiumが資金を提供できるグループや団体を見つけるしかありません。
Q: 2022年のCitizendiumのマネージング・エディターは誰ですか?
A: 2022年のCitizendiumの編集長は、Pat PalmerとJohn Stephensonです。
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