アレグロとは|クラシック音楽のテンポ記号・意味と目安BPM
Allegroはクラシック音楽のテンポ記号である。イタリア語の「allegro」は「陽気に・活発に」を意味し、楽曲を適度に速く、生き生きとした性格で演奏することを示す。当初は曲の性格(明るく軽快、活発など)を表すためにも用いられたが、18世紀以降は主に「速さ(テンポ)」を示す記号として使われるようになった。一般的にはAndanteより速く、Prestoより遅い位置づけになる。楽曲の文脈や作曲家の意図によって解釈が変わるため、単に記号だけで一律の速さが決まるわけではない。
語源と表現
「allegro」はイタリア語語源で「陽気な、元気な」を意味する形容詞に由来する。作曲家や国ごとの表現もあり、翻訳や異なる言語での指示が書かれることがある。たとえば、ドビュッシーやラヴェルはフランス語でvite(ヴィテ/速く)と表現することがあり、マーラーはドイツ語で「rasch(ラシュ)」とし、ブリテンは英語で「quickly(クイックリー)」と指示することがある。こうした言語の違いは演奏上のニュアンス(軽さ、推進力、表情など)に影響する場合がある。
BPM(目安)
メトロノームの普及以降はBPM(Beats Per Minute:1分間あたりの拍数)で目安を示すことが増えた。一般的な目安は次の通りだが、文献や楽曲によって幅があることに注意する。
- Allegroの一般的なBPM目安:おおむね120〜168 BPM
- Allegretto(やや速く)はおおむね112〜120 BPM程度とされることが多い
- Andante(歩く速さ)は約76〜108 BPM、Presto(非常に速く)は168 BPM以上、といった区分がよく用いられる
修飾語とバリエーション
Allegroは単体で使われるほか、修飾語と組み合わせて細かな表現を指示することが多い。代表的なもの:
- Allegro moderato — ほどよい速さのアレグロ(穏やかなアレグロ)
- Allegro con brio — 活力や勢いをもって(生き生きとした速さ)
- Allegro vivace — より生き生きと速く(vivace = 活発に)
- Allegro non troppo — 「あまり速くしすぎないで」の意(速度に歯止め)
演奏上の注意点
- 時代や様式によって「適切な速さ」は変わる。古典派(モーツァルト、ハイドン)ではバロックやロマン派と比べてテンポ感が異なる。
- 拍子やリズムの性格(2/4・4/4などの軽やかさ、6/8の跳ねる感じ)もテンポ選びに影響する。
- 楽曲内の表情記号(espressivo、dolceなど)や動機の扱い、管楽器・弦楽器などの響きによって、同じBPMでも印象は大きく変わる。
- 作曲家自身の指定(メトロノーム記号や書かれた言葉)がある場合はそれを優先するが、ベートーヴェンなど作曲家のメトロノーム指定は議論の対象になることもある。
代表的な例
- Bela Bartokの「Allegro barbaro」——タイトルに「Allegro」が用いられ、荒々しく力強い性格を示す例。
- モーツァルトやハイドンのソナタの第1楽章に「Allegro」が付くことが多く、楽章全体の推進力を担う。
- 交響曲や協奏曲の終楽章や中間楽章で「Allegro」「Allegro assai」「Allegro con brio」などの指定が見られる。
まとめると、Allegroは「速く、活発に」という大まかな指示を与えるテンポ記号だが、具体的な速度や表情は時代・作曲家・楽曲の文脈・修飾語によって決まる。演奏者や指揮者は楽譜のほか、歴史的演奏慣習や楽曲の性格を考慮して最適なテンポを選ぶ必要がある。
例
- アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第1楽章。Allegro, W.A.Mozart - 試聴
- 交響曲第40番 ト短調 第1楽章Molto allegro, W.A.Mozart 試聴
- 交響曲第5番 第3楽章Allegro, Ludwig van Beethoven - 試聴
- エチュード 作品25 第6番 フレデリック・ショパン - 試聴
質問と回答
Q: アレグロとは何ですか?
A: アレグロはクラシック音楽のテンポ記号で、音楽家に対して適度に速く演奏するように指示するものです。
Q: アレグロはもともと曲の特徴を表すために使われていたのですか?
A: はい、アレグロはもともとクラシック音楽の曲の特徴を表すために使われていました。
Q: アレグロの主な用法が性格から速度に変わったのは何世紀ごろですか?
A: アレグロの主な用法が性格からスピードに変わったのは18世紀以降です。
Q: Allegroの代わりに作曲家が速さを表すために使った用語の例をいくつか教えてください。
A: Allegroの代わりに作曲家が速さを表す言葉として使った例としては、Claude DebussyやMaurice Ravelのvite、Gustav MahlerのRasch、Benjamin BrittenのQuicklyなどがあります。
Q: アレグロの速度で演奏する場合、1分間に何拍までが推奨されますか?
A: アレグロで演奏される曲は、一般的に1分間に120拍から168拍の間で演奏されるべきです。
Q: アレグロは曲名に使われることがありますか?
A: はい、アレグロは、ベラ・バルトークのアレグロ・バルバロのように、曲名に使われることがあります。
Q: アレグロの速度は、アンダンテやプレストと比べてどのくらいですか?
A: アレグロはアンダンテよりは速いですが、プレストよりは遅いです。