楕円曲線とは、特別な点を備えた種数1の滑らかな代数曲線である。多くの体上では、ワイエルシュトラス形として y2 = x3 + a x + b と書け、2変数の簡単な三次方程式で表される。非特異であるためには、曲線に尖点や自己交差が生じないよう、係数が判別式の条件を満たさなければならない。射影化すると無限遠点が1つ加わり、これが自然な群法則の単位元として働く。
構造と定義データ
基本要素は、基礎となる体(たとえば実数、複素数、有理数、有限体)と、三次多項式を決める係数 a, b である。判別式は a と b の多項式表示であり、滑らかさを保証するために 0 であってはならない。代数的には1次元多様体であり、幾何学的には実数上で1つまたは2つの連結した輪として現れることが多い。
群法則と座標
楕円曲線には自然な可換群構造がある。曲線上の2点を取ると、その2点を結ぶ直線を引き、三つ目の交点を求め、さらに x 軸に関して反転させることで第3の点が得られる。特別な無限遠点が単位元として振る舞う。この幾何学的規則は、理論と応用の両方で用いられる点の加法・倍点の代数式へとつながる。
歴史と理論
楕円曲線は、19世紀の楕円積分の研究や楕円関数の逆問題から生まれた(アーベル、ヤコビ、ワイエルシュトラス)。20世紀には算術幾何学の中心的対象となり、有理点の有限生成を述べるモーデルの定理、有理数体上のねじれ部分群に関するマズールの定理、さらにバー奇=スウィンナートン=ダイアー予想のような深い予想へと結びついた。
応用と例
- 数論: 有理点、ディオファントス方程式、L関数。
- 暗号: 楕円曲線暗号(ECC)は、有限体上の曲線での離散対数問題の難しさを利用し、コンパクトで効率的な公開鍵方式を実現する。
- 複素解析と幾何: 複素数上では、楕円曲線は C 上の格子から得られるトーラスである。
体が異なれば現れる現象も異なる。有限体上では点の群は有限であり、各種プロトコルや標準で利用される。有理数体 Q 上では、ランクとねじれ構造が深い算術的性質を示す。さらに詳しくは基本定義、アルゴリズムとソフトウェア、研究概説を参照されたい。