魚醤とは?旨みたっぷりのアジア発酵調味料—作り方・種類・使い方
魚醤の魅力を徹底解説:発酵の作り方、各国の種類、使い方やレシピで旨みを引き出すコツを写真付きでわかりやすく紹介。
魚醤はアジアで伝統的に使われてきた発酵調味料で、魚やオキアミを塩で漬け込み、時間をかけて発酵・熟成させて作られます。一般に液状で塩味と強いうま味をもち、料理にコクや深みを与えるために使われます。製法や材料は地域によって差があり、一般的な熟成期間は数か月から数年に及びます。特にビルマ、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムの料理で調味料として広く使用されています。
何が「うま味」を作るのか
魚醤のうま味は、たんぱく質が塩と微生物の働きで分解されてできるアミノ酸(特にグルタミン酸)やペプチドに由来します。これらが料理の旨みを強調し、甘味・酸味・塩味と組み合わせることで複雑な風味を作り出します。料理人は少量を加えるだけで料理全体の奥行きを増すため、スープや煮込み、和え物など幅広く使います。
主な種類と地域名
- タイ:ナムプラー(nam pla)
- ベトナム:ヌクマム(nước mắm)
- フィリピン:パティス(patis)やバゴオン(bagoong。ペースト状)
- 日本・韓国:魚醤に似たものとしてしょっつる(秋田)やいしる(能登)、韓国のエンムルロ(えごまではないが地域差あり)
- 東南アジアその他:それぞれの国や地方で原料の魚種や塩加減、発酵期間が異なり、風味も個性があります。
作り方(基本的な工程)
- 原料の選定:小魚やイワシ、カツオ、オキアミなどを用いる。魚の種で香りや色が変わる。
- 塩漬け:魚と塩を混ぜ、比率や塩分濃度を調整して容器に詰める。塩は防腐と発酵のコントロールの役割。
- 発酵・熟成:数か月〜数年、温度や日光の当たり方を管理しながら発酵。微生物がたんぱく質を分解して旨味成分を生む。
- 濾過と成分調整:発酵後に液体を濾して瓶詰めし、必要に応じて濃度を調整する製品もある。
使い方と応用例
魚醤は万能調味料ですが強い風味を持つため量の調整が重要です。以下は一般的な使い方の例です。
- スープや煮込みのベースに:少量で深いうま味が出る(例:ベトナムのフォーに少量加える)。
- ドレッシング・タレ:ライム、砂糖、にんにく、唐辛子と合わせてタイやベトナム風のドレッシングに。
- 炒め物・マリネ:肉や魚の下味、炒め物の仕上げに数滴でコクを加える。
- ディップソース:チリやライムと合わせて生野菜やシーフードのディップに。
代替品とベジタリアン向けの選択肢
魚醤が使えない場合の代替として、一般的には醤油や味噌、マッシュルームを使った旨味調味料、液体アミノ酸などが使われます。近年は昆布や椎茸、海藻、発酵大豆を利用して魚の風味を模した「ヴィーガン魚醤」も市販されています。文章中でも触れたように、調味料としての役割を果たす点で醤油は魚醤の代わりにベジタリアン向けとされることもありますが、風味は異なるため料理に合わせて使い分けるとよいでしょう。
フランス料理や各国料理では、これに対応する用語として魚のブイヨンがある。それは作り方も違えば味も違う。ブイヨンは短時間で抽出される澄んだだし汁で、魚醤のような長期発酵による濃厚なうま味とは質が異なります。用途に応じてどちらを使うか選ぶとよいでしょう。
保存・衛生と注意点
- 塩分が高いため比較的長持ちしますが、開封後は冷蔵保存を推奨します。香りや色に変化があれば使用を控えてください。
- 高塩分であることから、塩分摂取量に注意する必要があります。高血圧などのある方は使用量を控えめに。
- 魚アレルギーのある人は避けるべき調味料です。
風味を生かすコツ
- 最初は少量から加え、味を見ながら調整する(ティースプーンの1/4〜1/2から)。
- 塩は別に足さずに味を整える。魚醤自体に塩分があるため、塩加減を確認してから他の塩類を加える。
- 火を入れすぎると香りが飛ぶことがあるため、仕上げに加えると香りが立ちやすい。
魚醤は少量で料理の印象を大きく変える強力な調味料です。地域ごとの種類や製法の違いを楽しみながら、用途に応じて使い分けてみてください。

ナンプラー 適量
質問と回答
Q:魚醤は何からできているのですか?
A:魚醤は、魚やオキアミを塩でコーティングし、2年以上発酵させたものです。
Q:魚醤はアジアのどの国で料理によく使われていますか?
A: ビルマ、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムでは、魚醤は料理によく使われます。
Q: ナンプラーを料理に使う目的は何ですか?
A:魚醤は料理にうま味を加えるために使われます。
Q: 醤油と魚醤はどう違うのですか?
A:醤油は、魚醤の代わりにベジタリアンのために作られたものと考えられています。
Q:フランス料理や各国料理で、ナンプラーに相当する言葉は何ですか?
A:フランス料理や各国料理では、魚のブイヨンを指しますが、これは作り方も味も異なります。
Q:魚やオキアミをどのくらい発酵させれば魚醤ができるのですか?
A:魚やオキアミを2年程度発酵させ、魚醤を作ります。
Q:アジア料理におけるナンプラーの主な用途は何ですか?
A:魚醤はアジア料理の調味料として多く使われています。
百科事典を検索する