クリル体長約1インチほどの小さなエビのような甲殻類で、世界中の海に生息しています。養分のある地域では、1立方メートルあたり1万匹以上のオキアミが大群生しています。植物プランクトンや動物プランクトンを食べます。

クリルは食物連鎖の底辺に位置するため、生態学的に非常に重要です。多くの動物の食事の大部分を占めています。南洋では、南極オキアミの一種であるEuphausia superbaは、推定バイオマスが5億トン(長さ4億9000万トン、短さ5億5000万トン)を超えており、人類の約2倍に相当する。クジラアザラシペンギン鳥類魚類、イカ、ジンベエザメなど多くの動物に食べられています。このうち、半分以上は毎年食べられており、成長と生殖に取って代わられています。

ほとんどのオキアミ類は大規模な垂直移動をする。エビのような他の甲殻類とは、エラが外から見えることで区別されます。

分布と種類

オキアミは世界中の海に分布し、沿岸域から深海まで様々な環境に適応した約80〜90種が知られています。特に南極海では群集密度が高く、Euphausia superbaのように巨大なバイオマスを形成する種が生態系の基盤を支えています。多くの種は寒冷水に多く、海氷の存在が幼生の生存に重要な影響を与えます。

生態と行動

摂食方法:オキアミは主に植物プランクトン(微細藻類)や小さな動物プランクトンを食べます。前胸脚や胸脚の毛を使ってプランクトンを濾し取るろ過摂食や、捕食的に小型プランクトンを捕らえる種もあります。

垂直移動:昼間は深い水層に潜み、夜になると表層に浮上して餌を摂る「日周鉛直移動(diel vertical migration)」を行う種が多いです。この移動は捕食者からの回避と餌資源の効率的利用の両方に役立ちます。

群泳と発光:オキアミは群れ(スクワーム)を作ることがあり、個体数が極めて高いときには大きな塊となることがあります。また、体表に生物発光器官を持ち、夜間に発光して仲間との連絡や捕食者回避に使われることがあります。

繁殖とライフサイクル

オキアミの多くは浮遊性の卵を産み、幼生は複数の発育段階(ナウプリア、プロトゼア、ミシスなど)を経て成体になります。南極オキアミのように卵が深層に沈み、そこから浮上して発育する複雑なライフサイクルを持つ種もいます。繁殖は季節性が強く、特に春から夏にかけてのプランクトン増殖期に繁殖が集中します。

食物連鎖での役割と炭素循環への貢献

オキアミは多くの海洋生物の主要な餌であり、エネルギーと栄養を上位の捕食者へ効率的に伝える役割を果たします。クジラやペンギン、魚類、頭足類、海鳥など、多様な捕食者がオキアミを利用します。さらに、オキアミの糞や死骸は深層へ沈降し、有機物を海洋の深部へ輸送するため、海洋の生物地球化学的ポンプに重要な貢献をしています。垂直移動による炭素の移送も大きな役割を持ちます。

人間との関わりと保全

利用:オキアミは飼料や魚粉、栄養補助食品(クリルオイル)として漁業対象になっています。特に南極海のオキアミ漁は商業的に重要ですが、漁獲量の管理は生態系全体への影響を考慮する必要があります。

管理と課題:南極海の管理は国際的な枠組み(例:CCAMLR:Convention for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources)で行われていますが、気候変動や海氷の減少、酸性化、過剰漁獲などがオキアミ資源とそれに依存する生態系に脅威を与えています。特に海氷の減少は幼生の生存に直結するため、長期的な影響が懸念されています。

研究と今後の展望

オキアミは海洋生態系の鍵となる生物であるため、分布、個体数、成長・繁殖の動向を把握するための継続的なモニタリングと研究が進められています。気候変動の進行に伴い、オキアミ資源の変化は上位の捕食者や漁業資源にも波及するため、保全と持続可能な利用を両立するための科学的根拠に基づく管理が一層重要になります。

まとめ:クリル(オキアミ)は小さくても海の食物連鎖と物質循環を支える重要な存在です。多くの生物が依存する一方で、気候変動や人間活動の影響を受けやすく、学術的・国際的な協力による保全管理が求められています。