星間雲とは?定義・種類(H I/H II/分子雲)と形成・役割を解説
星間雲の定義からH I・H II・分子雲の違い、形成過程と役割を図解でわかりやすく解説する入門ガイド。
星間雲とは、星間物質(ISM: interstellar medium)の中で周囲より密度が高く、はっきりとした構造を示すガスと塵の集まりです。銀河系をはじめとする銀河の中で、星と星の間に存在する物質や放射線を含む領域を指します。星間雲は物質の集積と冷却が進んだ場所であり、星形成や銀河の進化に重要な役割を果たします。
成分と物理的性質
星間雲は主に水素を中心とするガス(原子・分子・イオン)と塵で構成されています。特に多くを占めるのは水素で、次いでヘリウムや微量元素(重元素)です。塵は光の吸収や散乱を引き起こし、雲内部を冷却して化学反応や分子形成を助けます。典型的な性質は以下の通りです。
- 密度:おおむね数十〜10^6 個/cm^3(拡散雲は低密度、分子雲は高密度)。
- 温度:数十 K(分子雲)〜数千〜万 K(イオン化領域)。
- 大きさ:数光年から数百光年、質量は太陽質量の数十〜10^6倍に及ぶものもある(巨大分子雲)。
種類(H I / H II / 分子雲)
星間雲は主に水素の状態や物理条件によって分類され、代表的なものは次の3つです。
- H I領域(中性原子雲):水素が中性原子(H)として存在する領域です。温度は数十〜数百 K、密度は低め。21 cm の電波線(中性水素のスピン反転遷移)で観測され、銀河全体のガス分布や回転曲線の研究に用いられます。
- H II領域:若い高温の恒星からの紫外線で水素がイオン化された領域で、明るい光学的放射(たとえばHα線)を発します。原文で触れられていたようにイオン化していて、プラズマ状態になっている領域です。散光星雲や輝線星雲として観測されます。
- 分子雲:十分に冷却されて水素が分子(主にH2)になった高密度領域で、星形成の主な現場です。光学的に暗く見えることが多く、COなどの分子線(ミリ波・サブミリ波)によって探知されます。
なお、密度が低く広く広がる中性雲や部分的にイオン化した雲は「拡散雲」と呼ばれることもあります。
形成過程と進化
星間雲は単一の過程でできるわけではなく、様々な経路で形成・成長します。主な形成過程は以下の通りです。
- 恒星の質量放出:赤色巨星や進化した恒星の恒常流や惑星状星雲からのガス・塵の放出が原料になります。
- 超新星ショックと衝撃圧縮:超新星爆発の衝撃波が周囲のISMを圧縮して局所的に密度を高め、雲を形成・分裂させます。
- 銀河内部の大規模な運動:渦腕や銀河潮汐、相互作用によりガスが集まり、巨大分子雲を作ることがあります。
- 放射線による冷却と化学反応:塵による放射冷却や分子形成(H2やCO)が進むことで、雲内部の温度が下がり更に凝縮が進みます。
こうしてできた雲は重力や外的な圧力、磁場、乱流が競合する中で進化し、やがて星形成を引き起こすことがあります。逆に若い星の紫外線や恒星風、超新星により雲は破壊され、星間物質として再び拡散します(星と物質の循環)。
星間雲の役割
- 星形成の場:分子雲の中で重力崩壊が起きて原始星が誕生します。多数の恒星を生む巨大分子雲は銀河の星形成活動を支えます。
- 化学工場:塵面や暗い領域で分子や複雑有機分子が生成され、化学進化の場となります。
- 光学的景観とエネルギー交換:塵が光を吸収・散乱して暗黒帯や反射星雲を作り、イオン化領域は輝線を放射して銀河の輝きを作ります。
- 銀河スケールでの物質循環:恒星の誕生と死を通じて元素やエネルギーが交換され、銀河化学進化に寄与します。
観測方法と指標
星間雲は波長ごとに異なる特徴を示すため、多波長観測が重要です。
- ラジオ(21 cm):H I領域の分布・運動を調べる基本的手段。
- ミリ波・サブミリ波:COなどの分子線で分子雲を探し、質量や密度、温度を推定します。
- 赤外線:塵の熱放射や埋もれた若い星(プロトスター)を観測できます。
- 光学・可視域:Hαなどの輝線でH II領域や散光星雲を観測しますが、塵で隠された領域は見えません。
代表的な星間雲の例
- オリオン大星雲(M42):活発な星形成領域として有名なH II領域。
- 馬頭星雲・馬の首付近:暗黒星雲の代表例。
- タウルス分子雲、オリオン分子雲複合体:近傍の分子雲で個々の原始星や恒星形成クラスターを詳しく研究できます。
- わし星雲(M16)の「創造の柱」:紫外線で暗黒雲が浸食される様子が印象的です。
以上のように、星間雲は単なる「雲」ではなく、銀河の構造・進化、星の誕生と死に深く関わる重要な天体現象です。観測技術の進歩により、密度・温度・化学組成・磁場・乱流などの詳細がますます明らかになりつつあります。

輝線星雲NGC6357のごく一部。H II領域特有の赤で光っている。
質問と回答
Q: 星間雲とは何ですか?
A: 星間雲とは、銀河系の星と星の間の空間にある星間物質、物質、放射線のうち、平均より密度の高い部分のことです。
Q: 星間雲はどのようにしてできるのですか?
A: 星間雲は、赤色巨星が晩年に放出したガスや塵によって形成されます。
Q: 星間雲は何からできているのですか?
A: 星間雲は、私たちの銀河や他の銀河に存在するガス、プラズマ、塵からできています。
Q: 星間雲にはどのような種類がありますか?
A:中性雲、電離雲、分子雲です。
Q: HI領域とは何ですか?
A: 水素の中性雲です。
Q: H II 領域とは何ですか?
A: 電離した水素の雲、プラズマの雲です。
Q: 中性雲や電離雲は何と呼ばれていますか?
A: 中立雲や電離雲は、拡散雲とも呼ばれることがあります。
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