概要
虫垂切除術(appendectomy、appendicectomy)は、虫垂を外科的に取り除く手術である。最も頻繁に行われるのは急性虫垂炎の治療で、虫垂の炎症または感染が進行すると穿孔や腹膜炎に至ることがある。虫垂炎が疑われる場合、臨床医は通常、症状、身体所見、画像検査を確認したうえで切除を勧める。病態の詳細は 虫垂炎 を参照。
適応と時期
主な適応は症候性の虫垂炎である。破裂の懸念、限局性膿瘍、あるいは全身感染がある場合には、手術が緊急となることがある。状況によっては、たとえば被包化した膿瘍のように、まず抗菌薬とドレナージによる非手術治療を選び、後日になって遅延期の虫垂切除術を検討することがある。待機的な虫垂切除術はまれで、別の腹部手術の際に偶発的に切除する場合など、特定の状況に限られる。
術式
虫垂切除術には複数の手術アプローチがある。主な方法は次のとおりである。
- 開腹虫垂切除術:右下腹部に1か所の切開を置く方法。
- 腹腔鏡下虫垂切除術:カメラと器具を用いて複数の小切開で行う方法で、回復が早く、痛みが少ないためしばしば選好される。
- 単孔式・ハイブリッド手技:瘢痕を減らすことや、低侵襲手技と開腹手技の要素を組み合わせることを目指した変法。
回復と合併症
回復期間は手術方法と、虫垂が穿孔していたかどうかで異なる。腹腔鏡下手術では、通常、日常活動の再開がより早い。起こりうる合併症には、創感染、腹腔内膿瘍、癒着による腸閉塞、まれな麻酔関連合併症や血栓塞栓性イベントがある。早期離床、創部管理、術後フォローアップはリスク低減に役立つ。
歴史と注目点
虫垂切除術は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、未治療の虫垂炎の危険性が外科医に認識されるにつれて確立した。20世紀後半に腹腔鏡手術へ移行したことで、術後経過と患者の期待は大きく変化した。現在では、診察、画像所見、そして選択された単純性症例に対する抗菌薬先行戦略に関する進展するエビデンスを踏まえて、治療方針が決定される。
臨床上の考慮事項
外科医は、治療計画を立てる際に、患者の年齢、併存疾患、妊娠、画像検査結果を考慮する。虫垂切除術は今なお一般的で、しばしば救命的な手術であるが、非手術管理や低侵襲技術に関する研究により、実践は現在も変化し続けている。