概要
腎臓がんとは、血液をろ過して尿をつくる対になった臓器である腎臓に発生する悪性腫瘍を指します。成人で最も多い型は腎細胞癌で、子どもではウィルムス腫瘍がよくみられます。がんの生物学的な背景については、がんの概要も参照してください。
種類と特徴
主な種類は次のとおりです。
- 腎細胞癌(RCC) — 腎臓の尿細管細胞から発生し、顕微鏡所見の異なる複数の亜型があります。腎細胞癌も参照してください。
- 尿路上皮癌(移行上皮癌) — 腎盂の内側を覆う上皮に発生し、膀胱がんに似た性質を示します。
- ウィルムス腫瘍 — 小児の腎臓がんで、臨床経過と治療が独特です。詳細はウィルムス腫瘍を参照してください。
- そのほか、腎臓に関与する肉腫やリンパ腫などのまれな型があります。
原因と危険因子
多くの腎臓がんでは正確な原因は不明ですが、いくつかの因子がリスクを高めます。たとえば、喫煙、過体重、長く続く高血圧、フォン・ヒッペル・リンドウ病、Birt-Hogg-Dubé症候群、結節性硬化症などの遺伝性症候群、そして一部の職業上の曝露です。家族歴は、遺伝性の型では重要になることがあります。
症状と診断
症状には、血尿、持続する側腹部痛、触知できるしこり、原因不明の体重減少、発熱、倦怠感などがあります。多くの症例は、別の目的で行われた画像検査で偶然見つかります。診断では通常、超音波検査、造影CTまたはMRIを用い、必要に応じて生検で診断を確定し、治療方針を決めます。
治療と予後
治療は病期、腫瘍の種類、患者の状態によって異なります。限局した腫瘍は、腎機能をできるだけ残すことを重視しながら、部分切除または根治的腎摘除などの手術で治療されることが多いです。進行例や転移例では、分子標的治療、免疫療法、またはその組み合わせが用いられ、放射線療法は選択的に使われます。予後は大きく異なり、早期病変は見通しが良い一方、進行して広がると長期生存率は低下します。
意義と注目点
腎臓がんは、ほかの多くの固形腫瘍と比べて、生物学的性質や全身薬剤への反応が異なります。腹部画像検査の一般化により偶然発見される機会が増え、早期診断につながる例も多くなりました。予防では、喫煙をやめる、適正体重を保つ、血圧を管理するなど、修正可能な危険因子を減らすことが重要です。また、家族歴からリスクが高いと考えられる場合は、遺伝性症候群への注意も必要です。