ラスコーは、フランス南西部のヴェゼール渓谷にある洞窟の名称である。ラスコー洞窟は洞窟壁画で有名です。これらの壁画は後期旧石器時代(およそ1万7千年前、マグダレニアン期)に描かれたと考えられており、写実的で動きのある大型動物の描写や、洞窟の自然な凹凸を利用した立体的表現が評価されています。

ドルドーニュのモンティニャック村の近くには、いくつかの洞窟があります。その中のひとつに、よく知られている後期旧石器時代の美術品があります。描かれているのはほとんどが大型動物のリアルな姿です。これらの動物の多くは、化石の証拠から当時この地域に生息していたことがわかっている。ラスコーの遺跡は、1979年に「ヴェゼール渓谷」の名でユネスコの世界遺産に登録されました。

ラスコー洞窟の壁画には、バイソンや馬、ヘラジカ、野牛(ウロックス)などが大きく描かれ、色は赤系の赤土(酸化鉄)や黒色(マンガンや木炭)などが使われています。筆や指、吹きつけ(骨や管を使って顔料を吹き付ける技法)、刻線(線刻)などさまざまな技法が併用され、洞窟の凹凸を生かした奥行き表現や動きの表現が見られる点が特徴です。また、人間を描いた希少な図像や抽象的な符号も確認されています(有名な「死者の井戸(シャフト)」の場面には人間像が描かれている)。洞窟内部の総延長はおよそ200〜250メートルとされ、主要な壁画群は数か所のホールや廊下の壁面に分布しています。

ラスコー洞窟は1940年に地元の若者たちによって発見され、その後考古学者や洞窟学者による調査が行われました。1950年代から一般公開され、多くの観光客が訪れた結果、洞窟内の空気環境が変化し、壁画にカビや炭酸塩の付着などの損傷が発生しました。このため洞窟は1963年に閉鎖され、その後保存・修復と環境管理が進められました。

観光客向けには1970年代以降に精巧な複製が制作され、1983年には主要部分を再現した「ラスコーII」が公開されました。さらに2016年にはより広範で精密な複製と展示を備えた「ラスコー IV(Lascaux IV — Centre International de l'Art Pariétal)」がモンティニャックに開館し、オリジナルを保護しつつ来訪者が壁画の魅力と学術的背景を体験できるようになっています。

遺跡の保存は現在も重要な課題であり、温湿度の厳格な管理、微生物の監視、来訪者数の制限などが続けられています。ラスコーの発見と研究は旧石器時代の芸術や人間の表現力に関する理解を大きく深め、考古学・美術史双方において極めて重要な遺産とされています。

モンティニャックは、ペリグーから約40キロ(25 mi)、サルラ=ラ=カネダから約25キロ(16 mi)の距離にあります。現在、オリジナル洞窟への立ち入りは制限されており、訪問者は主に複製展示施設でラスコーの壁画を鑑賞することになります。保存と学術調査の重要性から、将来的にも慎重な管理が続けられる見込みです。