光は、人間の目で検出することができる波長を持つ電磁放射の一形態です。光は宇宙に広く存在し、電磁スペクトルのごく一部を占め、太陽のような星や人工源から放出される放射線です。多くの動物も光を見ることができ、光の研究は古代から続く重要な分野で、現代では光学やフォトニクスとして発展しています。物体が光を遮ると影ができますが、光は物質との相互作用を通じて反射・屈折・散乱・吸収などさまざまな現象を起こします。

定義と可視領域

一般に「光」とは、可視域にある電磁放射を指します。可視光の波長範囲は約380 nmから750 nm程度とされ、人間はそれぞれの波長を異なる色として知覚します。可視域の外側には、赤より長波長の赤外線や、紫(バイオレット)より短波長の紫外線が存在します。可視光のエネルギーはおおよそ1.65 eV(赤)から3.26 eV(紫)程度です。

波長と色

可視光スペクトルは、プリズムや水滴による分散で分かれ、虹は、そのスペクトル全体を示す自然現象です。一般に外縁から順にオレンジと並びます(オレンジ、黄、、紫)。人の目の感度は波長によって異なり、明るい条件(明視視覚)では約555 nm付近で最も感度が高く見えます。肉眼で識別できる色以外の光(例えば熱赤外線や深紫外線)は、専用のカメラや機器でしか観測できません。

波と粒子の二重性(波粒二重性)と光子

光は、古典的には電磁波として説明されますが、量子力学においては粒子的性質も持ちます。光は小さなエネルギーパケットである光子と呼ばれる単位で記述され、それぞれの光子のエネルギーは波長に依存します(E = h・c/λ の関係。h はプランク定数、c は光速)。このため、光は同時に波と粒子の両方の性質を示します。干渉や回折などの現象は波として、光電効果や量子消滅・生成などは粒子としての性質の表れです。

光の主な性質

  • 強度(輝度/照度) — 光の量を表し、観測される明るさや受光面に届くエネルギーに対応します(強度)。
  • 偏光 — 電場ベクトルの振動方向に関する性質で、光の波面や散乱過程で変化します(偏光)。
  • 位相 — 波の周期的な進行における相対的なずれで、干渉や位相制御に重要です(位相)。
  • 軌道角運動量 — 光はスピン角運動量(偏光に対応)に加えて、ねじれた位相構造をもつとき軌道角運動量を持ち、微細操作や通信への応用が研究されています(軌道角運動量)。

速度と媒質での振る舞い

真空中の光速は一定で、値は約299,792,458 m/sです(理論的に「c」と表記されます)。光は媒質中では遅くなり、その割合は媒質の屈折率によって決まります。媒質の界面では光は屈折し経路が変わる(スネルの法則)とともに、一部が反射されます。

反射・屈折・散乱・回折

光の代表的な現象には次のようなものがあります。

  • 反射 — 光が表面で跳ね返る現象。鏡に映った物体を見ることができるのが反射の法則です。通常、入射角と反射角は等しくなります。
  • 屈折 — 光が異なる媒質の境界を通るときに進行方向が変わる現象(波長に依存して分散が起き、色が分かれる)。
  • 散乱 — 粒子や不均一性で光が様々な方向に散らばる現象で、空が青く見える理由(レイリー散乱)などを引き起こします。
  • 回折・干渉 — 光が障害物や開口を通るときに波として振る舞い、回折パターンや干渉縞が生じます。

応用と研究分野

光学は顕微鏡、望遠鏡、カメラ、レーザー、通信(光ファイバー)、医療(光学診断・治療)、リモートセンシングなど多岐にわたる応用を持ちます。基礎研究では光の量子性を利用した量子光学や量子通信、ナノ光学、プラズモニクスなどが活発に進められています。

用語上の注意

物理学では、用語光は時々、可視かどうかにかかわらず任意の波長の電磁放射を指すことがあります。本記事は可視光に焦点を当てていますが、電磁放射全体についての一般的な概念は電磁放射の解説を参照してください。