マドリッド交響楽団(Orquesta Sinfónica de Madrid)—1903年創立のマドリッド拠点オーケストラ
マドリッド交響楽団(スペイン語:Orquesta Sinfónica de Madrid)は、スペインの首都マドリッドを本拠地とする歴史あるオーケストラで、1903年に創立されました。20世紀初頭以来、スペイン音楽の普及と国際的な交響楽レパートリーの紹介に重要な役割を果たしてきました。
沿革
オーケストラは1904年2月7日にテアトロ・レアルで、指揮者アロンソ・コルデラスの指揮により初の公開演奏会を開催しました。翌年にエンリケ・フェルナンデス・アルボスが指揮者に就任し、以後30年以上にわたり団の基礎を築きました。アルボス時代にはスペイン音楽を中心に据えつつも、イゴール・ストラヴィンスキーやリヒャルト・シュトラウスなどのヨーロッパの作曲家による作品も積極的に取り上げられました。
スペイン内戦中は活動の継続が困難になり、多くの団員や音楽家が影響を受けました。戦後の1939年にアルボスが亡くなり、独裁政権の台頭で一部の音楽家が亡命するなどの混乱もありましたが、指揮者エンリケ・ジョルダらの尽力により団は存続しました。
中期以降の展開
1958年以降は、スペイン伝統の声楽劇であるサルスエラの上演に携わることが多く、劇場関係の公演や録音に注力しました。1965年に放送局系の新しいオーケストラ Orquesta Sinfónica de RTVE が発足すると、同都市の音楽界には競合が生じ、マドリッド交響楽団はサルスエラ劇場のための公演に多くの時間を割かれる時期がありました。1970年代にはサルスエラやスペイン・オペラの録音を多数残し、高い評価を受けています。
フランコ独裁時代の制約を経て、フランコ没後はサルスエラ劇場の公式オーケストラとしての役割を果たしました。その後、都市の音楽基盤が整備され、Auditorio Nacional de Música の開館によりコンサート活動の場が拡大。1997年にはサルスエラ劇場から一時的にレアル劇場へ移転し、少なくとも2009年までは同地での公演が続きました。
レパートリーと初演・録音
伝統的にスペイン作品の演奏・普及に力を入れており、20世紀のスペイン作曲家の紹介に貢献してきました。オーケストラは以下のような重要な初演や初期演奏を行っています。例として、ファラの「スペインの庭の夜」(Noches en los jardines de España、1916年初演)や、プロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第2番」(1935年初演への関与)などが挙げられます。
また、サルスエラやスペイン・オペラの商業録音を多数残しており、歴史的資料としても価値が高いものが多くあります。国際ツアーも行い、ポルトガルやラテンアメリカを旅して各地で演奏を行うなど、国外での活動も活発です。
教育活動と地域貢献
近年は地域社会への貢献として教育プログラムを充実させ、幼児向けの音楽鑑賞プログラム、学校連携のワークショップ、若手奏者の育成などを行っています。こうした活動は次世代の聴衆育成と演奏者の発掘・支援につながっています。
主要な指揮者・ゲスト
歴史を通じて、エンリケ・フェルナンデス・アルボスやエンリケ・ジョルダといった主要指揮者のもとで発展してきました。ほかにも国内外の著名な指揮者や作曲家が客演し、演奏水準の向上に寄与しています。たとえば、イゴール・ストラヴィンスキーやリヒャルト・シュトラウスなどの重要人物が楽団と関わった記録があります。かつてはヘスス・ロペス・コボスが同楽団の指揮を務めたこともあり、指揮陣の国際的な交流は長年にわたり続いています。
現在の状況
マドリッド交響楽団は伝統を重んじつつ、現代作品の紹介や国際的な協働、公演の多様化に取り組んでいます。常設の公演活動に加え、録音や教育プログラムを通じてスペイン音楽の普及と文化発展に寄与し続けています。
(注)本記事は歴史的概要と主要な活動点をまとめたもので、個々の公演・記録の詳細や最新の首席指揮者・運営情報は公式発表や楽団のウェブサイト等でご確認ください。
主な指揮者
- アロンソ・コルデラス 1903-1904
- エンリケ・フェルナンデス・アルボス 1905-1939
- エンリケ・ジョルダ 1940-1945
- コンラード・デル・カンポ 1946-1950
- ホセ・マリア・フランコ 1951-1958
- ビセンテ・スピテリ 1958-1977
- ルイス・アントニオ・ガルシア・ナバロ 1999年~2001年
- ヘスス・ロペス・コボス 2002年
質問と回答
Q:マドリード交響楽団とは?
A: マドリッド交響楽団は、1903年に設立されたスペイン・マドリッドのオーケストラです。
Q:オーケストラの初代指揮者は誰だったのでしょうか?
A:オーケストラの初代指揮者はアロンソ・コルデラスでした。
Q:エンリケ・フェルナンデス・アルボスさんは、オーケストラにどのくらい在籍していたのでしょうか?
A: エンリケ・フェルナンデス・アルボス氏は、30年以上にわたってオーケストラと仕事をしてきました。
Q:このオーケストラが初演した有名な曲は?
A:マドリード交響楽団が最初に演奏したのは、ファリャの「スペイン庭園の夜」(1916年)とプロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第2番」(1935年)でした。
Q:スペイン内戦で、コンサートの継続を困難にするような出来事があったのでしょうか?
A:スペイン内戦では、フランシスコ・フランコ将軍の蜂起により、多くの音楽家が亡命したため、コンサートの開催が困難だったのです。
Q:1965年に新しいオーケストラ、オルケスタ・シンフォニカ・デ・RTVEが誕生しましたが、そのときの様子を教えてください。
A:1965年に新しいオーケストラ、オルケスタ・シンフォニカ・デ・RTVEができたとき、マドリード交響楽団はサルスエラ劇場で演奏する時間が多くなり、機能しなくなった。
Q:同社のカリキュラムは、幼児に音楽を聴かせ、楽器を演奏することをどのように促してきたのでしょうか?
A:コンサートやレコーディングなど、身近で楽しい機会を提供することで、幼児に音楽を聴かせ、楽器を演奏させるカリキュラムを組んでいます。