概要

マルトースは、しばしば麦芽糖とも呼ばれる、2分子のグルコースからなる単純な炭水化物である。化学的には、2つの二糖類の一つであり、2つのグルコース単糖が結びついてできている。複雑なデンプンが分解されるときに生じる、一般的な中間糖の一つである。

化学構造と性質

マルトースは、2つのグルコース分子が、片方のグルコースのアノマー炭素ともう一方の4位炭素の間のグリコシド結合で連結したもので、1位と4位の炭素を介するα(1→4)結合と表される。2つ目のグルコースが遊離のアノマー中心を保つため、マルトースは還元糖である。ショ糖より甘味は弱く、水にはよく溶ける。酵素による加水分解では、2分子の遊離グルコースが生じる。

自然界での存在と生成

マルトースは、デンプンが酵素的に分解されるときに現れる。特に発芽中の種子に多く、酵素が貯蔵デンプンをより小さな単位へ切り分け、芽生えがエネルギーを利用できるようにする。麦芽の製造に使われる大麦は典型例で、大麦の種子が発芽すると、穀粒中にマルトースが蓄積する。

生体内での処理と酵素

自然界でも体内でも、アミラーゼ酵素がデンプンをマルトースや他のオリゴ糖へ分解する。人の小腸では、刷子縁にあるマルターゼがマルトースをさらに加水分解し、吸収可能な2分子のグルコースにする。多くの微生物や酵母もマルトースを代謝できるため、発酵において重要である。

用途、例、重要性

マルトースは、麦芽を使った穀物が酵母に利用可能な発酵性糖を供給するため、醸造と蒸留の中心的な存在である。麦芽シロップ、いくつかの菓子類、そして食品加工の中間体としても現れる。栄養学と生化学では、マルトースはデンプン消化の産物であり、芽生えや微生物のエネルギー源として研究される。

関連する糖と主な違い

  • マルトースとショ糖: マルトースはグルコース2分子からなる還元性二糖類で、ショ糖は非還元性で、グルコースとフルクトースから成る。
  • マルトース、ラクトース、セロビオース: ラクトースはグルコースとガラクトースの組み合わせであり、セロビオースはβ(1→4)結合をもち、セルロースに多い。人はマルトースを消化できるが、セロビオースは効率よく消化できない。
  • 酵素: α-アミラーゼはデンプンからマルトースを生成し、マルターゼはマルトースをグルコースに変えて吸収させる。

簡潔な技術的要約や参考情報については、次の資料も参照される(麦芽糖の概要、二糖類の基礎、グルコースの化学分子の生成炭素番号の付け方発芽の過程、大麦と製麦、デンプン分解)。