鼻中隔は鼻の内部にある正中の仕切りで、左右の鼻腔を分け、外鼻の両側の鼻孔も区別します。鼻の構造を支え、左右それぞれへの気流を導き、外鼻の形を保つ助けになります。鼻の通路を分ける役割については左右の鼻気道、鼻孔そのものについては鼻孔の解剖を参照してください。

構造と構成要素

構造的には、鼻中隔は前方の可動性がある四角形軟骨と、後方の骨性部分から成り、主として鋤骨と篩骨垂直板によって形成されます。鼻中隔の表面は粘膜で覆われ、吸い込んだ空気を温めて加湿し、血管や小さな腺を含みます。軟骨・骨・粘膜の接合部は、機能だけでなく損傷への弱さにも関係するため、臨床的に重要です。

発生と個人差

鼻中隔は胎児期の成長の中で発達し、思春期にかけても変化が続きます。個人差はよくみられ、軽度の鼻中隔弯曲があっても症状が出ない人が多い一方、より明らかな弯曲、穿孔、先天的な違いを示す場合もあります。外傷、慢性炎症、過去の手術によって鼻中隔の形が変化することもあります。

機能と重要性

左右の鼻腔を分けるだけでなく、鼻中隔には次の働きがあります。

  • 左右の気流を導き、バランスをとる。
  • 外鼻を支えて形を保つ。
  • 空気を整え、病原体に対する防御に関わる粘膜を保持する。

その位置は、鼻の抵抗、嗅覚、そして鼻が分泌物をどれだけうまく排出できるかにも影響します。

臨床上の考慮点

よくみられる臨床的問題には、鼻閉を起こしうる鼻中隔弯曲、笛のような音や痂皮形成の原因となる鼻中隔穿孔、そして外傷後の鼻中隔血腫があります。治療は、症状が軽い場合の生理食塩水による洗浄や局所療法などの保存的対応から、症状が強い場合の鼻中隔矯正術(septoplasty)まであります。鼻中隔の異常を見分けることは、耳鼻咽喉科診療だけでなく一般診療でも基本的な評価の一部です。