オクトパス・ガーデン(Octopus's Garden)/リンゴ・スター作・ビートルズ曲の由来と解説

ビートルズ名曲『オクトパス・ガーデン』の誕生秘話とリンゴ・スター×ジョージの制作裏話、歌詞・メロディの解釈までわかりやすく徹底解説。

著者: Leandro Alegsa

"Octopus's Garden"は、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録された、リンゴ・スターが作曲したビートルズの曲です。シンプルで親しみやすいメロディと子どもにも語りかけるような歌詞で知られ、リング・スター(本名リチャード・スターキー)の代表作の一つとされています。

由来とインスピレーション

この曲の着想は、リンゴがあるヨットに乗っていたときに聞いた話から生まれたと伝えられています。リンゴ自身や関係者の証言によれば、ヨットの船員(あるいはコック)が、「タコが海底の石を集めて“庭”を作る」という話を語り、それを聞いたリンゴが「海の中の平和な場所」のイメージを膨らませて曲を書いたと言われます。こうした素朴で牧歌的な発想が、曲の歌詞や音楽的な雰囲気にそのまま反映されています。

ジョージ・ハリスンとの関係

ジョージ・ハリスンはこの曲の制作に深く関わり、リンゴと共にアレンジ面や録音で手伝いました。リンゴは当時、自分の曲がジョン・レノンやポール・マッカートニーに匹敵するとは考えていなかったため、ハリスンの協力を得て完成させた経緯があります。ハリスンは後に「『オクトパス・ガーデン』はリンゴの曲だ。リンゴが書いた曲はまだ少ないけれど、とても素敵だよ」と評しています。また彼はこの曲について「とても平和だから人の心に残る」とも語っており、作品の穏やかな性格を称賛しています。

録音と楽曲の特徴

録音は1969年、Abbey Roadスタジオで行われ、ハリスンがギターで参加、ポールやジョージがコーラスで支えたとされます。楽曲は短く覚えやすい構成で、ドラム(リンゴ自身)がリズムの中心を保ちつつ、温かみのあるハーモニーと親しみやすいフックを持っています。歌詞は「タコの庭」に逃れて平穏に暮らすという夢想的な内容で、ビートルズの他の曲に比べて児童向けの童話的な要素が強いのが特徴です。

評価とその後

リリース後、この曲はファンの間で愛され、リンゴのソロ・コンサートでも定番曲となりました。ビートルズのカタログの中では異色の、やさしく朗らかな一曲として評価され続けています。また、リンゴ自身がソロ活動で何度も演奏していることから、彼のパーソナルな代表曲のひとつとして広く認知されています。

補足:リンゴはビートルズ在籍時に自作の曲を数曲発表しており、その中で商業的・音楽的に知られているのが「Octopus's Garden」と同アルバム以前の「Don't Pass Me By」などです。これらは彼の作曲家としての一面を示しています。

背景

リンゴ・スターがこの曲のアイデアを得たのは、1968年、サルデーニャ島でコメディアンのピーター・セラーズが所有するボートに乗ったときのことだった。彼は昼食にフィッシュ・アンド・チップスを注文したが、魚の代わりにイカが出てきた。イカを食べたのは初めてだったが、彼は「大丈夫だった。ちょっとゴムっぽい。チキンみたいな味だった」。タコが海底で石や光るものを拾って庭を作ることを、船の船長がリンゴに教えてくれた。映画『レット・イット・ビー』には、ジョージ・ハリスンがリンゴ・スターのピアノ演奏を手伝うシーンがあった。

Oh what joy for every girl and boy / Knowing they're happy and they're safe」という言葉が入ったこの曲は、「イエローサブマリン」「続・バンガロービル物語」「All Together Now」などと同様に、子供向けの歌と思われることもある。マペットのショーでも何度か演奏されたことがある。

レコーディング

基本的なインスト曲は1969年4月26日に、エレキギター2本(ハリソンとジョン・レノン)、ベースギター(ポール・マッカートニー)、ドラムス(スター)で録音された。ジョージ・マーティンはこの曲をプロデュースしていないため、ビートルズ自身がプロデューサーとして名を連ね、マーティンのアシスタント、クリス・トーマスがコントロールルームに同席して手伝った。ビートルズがこの曲に満足するまでには、32回のテイクが必要だった。

ギターソロの時のマッカートニーとハリソンのバッキングボーカルは、コンプレッサーやリミッターをかけてゴリゴリした音にしている。ハリソンはストローで牛乳の入ったグラスに泡を吹き込むような音を加えている。

出演者

Ian MacDonald氏によるパーソネル



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