Old World Underground, Where Are You Now? — Metric(2003年)アルバム解説
Metricの2003年名盤「Old World Underground, Where Are You Now?」の全曲解説と6本のPV秘話を掘り下げる決定版ガイド。
Old World Underground, Where Are You Now? は、カナダのバンドMetricの2003年のアルバムです。インディー・ロック/ポストパンクの影響を受けたダンサブルでエッジの効いたサウンド、エミリー・ヘインズの特徴的なボーカルとシンセワークが際立つ作品として知られています。このアルバムのために2003/04年に出たビデオは6本あります(括弧内は監督)。
概要
リリース当時はインディー・シーンで大きな注目を集め、バンドの国際的な知名度を高めた作品です。サウンドはポストパンク的なギターリフとシンセポップ的な鍵盤の組み合わせが特徴で、メロディとリズムの両面で聴き手を引き込みます。歌詞には都市生活や疎外感、政治的・社会的な示唆を含む曲があり、ダンス可能な曲調と暗めのテーマが同居するバランスが評価されています。
音楽性と主な曲
アルバム全体は勢いのあるアップテンポの曲から、抑制の効いた中速のナンバー、シンセ重視の楽曲まで幅広く、シングル曲はライブでも人気の高いものが多いです。代表的な曲には、キャッチーで攻撃的なギターとキーが印象的な「Combat Baby」、ダンサブルでシンセが前面に出る「Dead Disco」、およびポップでありながら鋭い歌詞が光る「Succexy」などがあります。
バンド編成と制作
当時のバンド主要メンバーは、エミリー・ヘインズ(ボーカル・キーボード)、ジェームス・ショウ(ギター)、ジョシュア・ウィンステッド(ベース)、ジュールズ・スコット=キー(ドラムス)といった布陣で、シンプルかつ緻密なアレンジが特徴です。制作面ではインディーならではのDIY精神がありつつも、プロダクションは楽曲のダイナミクスを生かす作りになっています。
ミュージックビデオ
アルバムからは複数のビデオが制作され、映像面でも多彩な表現が試みられました。以下が当初の資料に挙げられている6本のビデオです(括弧内は監督)。内容や演出は曲ごとに大きく異なり、バンドのヴィジュアルイメージ形成にも寄与しました。
- "計算のテーマ"(ラモン・ブルームバーグ)
- "IOU"(スティーブン・ハンフト&マイケル・ラスティグ)
- "Succexy"(アシュレイ・ケイヒル)
- "コンバット・ベイビー"(マイケル・シラー)
- "デッド・ディスコ" (クリス・グリスマー)
- "The List" (クリス・グリスマー&エミリー・ヘインズ)
"Combat Baby "はイギリスでもシングルとなった。
評価と影響
リリース当時は批評家から概ね好意的な評価を受け、バンドの商業的・批評的成功の基礎を築きました。舞台となるライブでもアルバム曲が定番化し、のちの作品に続く音楽的方向性を示す重要作とされています。エミリー・ヘインズのソングライティングやボーカルスタイルは、同時代のインディー女性ボーカリストにも影響を与えました。
現在の位置づけ
発表から年数が経った今でも、Old World Underground, Where Are You Now? はMetricの代表作のひとつとしてファンや新規リスナーに聴かれ続けています。インディー・ロックとダンス・ポップの接点を模索したサウンドは、バンドのその後の活動を語る上で欠かせない一枚です。
トラックリスト
全曲Metricが作曲。
- "IOU"(借用書) - 4:22
- 「ハッスル・ローズ」 - 5:33
- 「Succexy" - 3:05
- 「コンバット・ベイビー」 - 3:29
- "計算のテーマ" - 3:31
- 「ウェット・ブランケット(Wet Blanket) - 4:07
- 「スローな夜に" - 4:36
- 「リスト" - 2:52
- 「デッド・ディスコ" - 3:25
- "Love Is A Place" - 2:09
バンドメンバー
生産
- Michael Andrews - プロデューサー
- Edson Miller - エンジニア、ミキシング
- Joe Gastwirt - マスタリング
- Josh Hassin - アルバムカバーデザイン
公式サンプル
Metricのオフィシャルサイトのミュージックページでは、本作のショートクリップが公開されています。
歌詞
このアルバムの歌詞は、Metricのホームページで見ることができます。
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