シュート(植物)とは:新芽・茎・花芽の定義と種類、発生過程

シュート(新芽・茎・花芽)の定義と種類、発生過程を図解で分かりやすく解説。芽生えから花咲く仕組みまで基礎知識を網羅。

著者: Leandro Alegsa

植物学では、シュート(shoot)は、茎葉や側芽を付けた成長軸、または花をつける茎や花芽のことを指します。種子の発芽によって地上へ向かって伸びてくる若い部分は、やがて葉を展開する新芽(幼芽)であり、これもシュートに含まれます。一般に、多年草の新芽とは、春に草本植物で地面から現れる新しい生長部分を意味し、木本植物では一年枝や花を形成する新しい茎の生長を指します。

日常会話や園芸では、シュートは茎と同義語になることが多く用いられますが、学術的には「茎(stem)」と「シュート(shoot:茎+葉+芽などを含む成長単位)」を区別して扱うことが多いです。

定義と用語の整理

  • シュート(shoot):茎(軸)に葉・芽(頂芽・側芽)・枝を含む成長単位。栄養成長期の新しい生長体を指すことが多い。
  • 茎(stem):植物体の器官の一つで、葉や節・節間を持ち、物質輸送と支持の役割を果たす。
  • 芽(bud):未展開の葉や花を含む休止あるいは発育中の構造。頂芽・側芽(腋芽)・不定芽などがある。
  • 新芽(young shoot / seedling shoot):種子発芽後に最初に伸びる幼いシュート。葉を展開し光合成を開始する。

シュートの種類

  • 頂芽(apical/terminal shoot):枝の先端にある成長点。端的に茎を延長させる。
  • 側芽・腋芽(axillary shoot):葉の腋(きょく)にできる芽から出る枝。剪定やホルモン処理で発芽を促すことが多い。
  • 不定芽(adventitious shoot):茎節・根・葉柄など通常の芽の位置以外から発生する芽。さし木や組織培養で重要。
  • 栄養シュート:葉と茎を中心にした成長に関与するシュート。
  • 生殖シュート(花芽をつけるシュート):花を形成するために分化したシュート。花序をつくることがある。
  • 地上性シュート・地下性シュート:地上に伸びるものと、地下または地表直下で伸びるもの(地下茎・ランナー・根茎など)に分かれる。

発生過程(概略)

シュートの発生は分裂組織である頂分裂組織(apical meristem)や側分裂組織の活動によって始まります。主な段階は次の通りです。

  • 胚段階:種子中で胚に胚軸(hypocotyl)や胚芽(plumule)が形成され、発芽後にこれらが伸長して最初のシュートとなる。
  • 発芽(germination):水分と温度条件が整うと種子が吸水して代謝が再開し、胚軸や胚芽が伸びて地上へ出る。
  • 一次成長:頂分裂組織の細胞分裂と伸長により茎の長さが増し、葉や側芽が形成される。
  • 側芽の活性化と抑制(優勢抑制):頂芽優勢により側芽の発芽が抑えられるが、摘芯やホルモン(サイトカイニン、オーキシン)の変化で側芽が発芽する。
  • 花芽分化(生殖転換):光周や温度、内生ホルモンなどの環境・生理信号により、栄養シュートが花芽(生殖シュート)に分化する。

生理と調節要因

  • 植物ホルモン:オーキシン(auxin)は頂芽優勢を維持し、サイトカイニン(cytokinin)は側芽の発芽を促進する。ジベレリン(gibberellin)は伸長成長や花芽分化に関与する。
  • 環境因子:光(日長・光質)、温度、栄養状態、水分などがシュートの成長や花芽形成を左右する。
  • 遺伝的制御:種や品種によってシュートの分化や分枝様式、花芽形成の感受性が異なる。

観察と園芸・農業上の利用

  • 新芽は食用として利用されることがある(たとえばタケノコ、クレソンや山菜など)。同じく若いシュートは食感・栄養価が高い。写真には食用になる新芽の例が示されています。
  • 栽培技術:剪定や摘芯でシュートの発生を制御し、樹形や収量を調整する。挿し木や株分けは不定芽や基部のシュートを利用した繁殖法である。
  • 病害や害虫:シュートは病原体や害虫の侵入点になりやすく、若いシュートの管理が生産性に影響する。

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キュウリのシュート — 若い茎葉が伸びる様子。生育初期のシュートは摘芯で側芽を促すことが多い。

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サハリンの食用新芽 — 一部の地域では若芽を食用とする伝統があり、春の山菜として重要である。

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ヒマワリの苗が発芽する様子 — 種子発芽後に最初に出るシュートが苗となり、やがて茎葉を展開して光合成を開始する。

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若いハスのアボカドシュート — 木本植物ではシュートが年ごとに成長して幹や枝を形成する。

まとめ

「シュート」は茎だけでなく葉や芽を含む成長単位として理解するとわかりやすく、発生段階や機能、環境・ホルモンによる調節が重要です。園芸や農業ではシュートの管理(摘芯・剪定・繁殖)は作物の樹形や収量、品質に直接影響します。

質問と回答

Q:植物学でいうシュートとは何ですか?


A: 植物学では、シュートは茎に葉と側芽を加えたもの、花茎と花芽のことを指します。

Q: シュートの例として、どのようなものがありますか?


A:草本植物で種子の発芽から上に向かって伸びる新芽や、木本植物で茎や花が伸びる新芽がシュートの一例です。

Q:シュートと茎は同義語ですか?


A: はい、日常会話では、新芽は茎と同義語であることが多いです。

Q: 食用になる新芽の例を教えてください。
A:サカリの新芽は食用になります。

Q:ヒマワリの苗はどのように発芽するのですか?


A:ヒマワリの苗は、種から芽を出して小さな植物になることで発芽します。

Q:アボカドの若い芽はどのようなものですか?A: アボカドの若芽は、茎から葉が伸びている小さな植物のような形をしています。


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