土壌侵食とは:定義、原因、影響(農業・都市・ダストボウル事例)と対策

土壌侵食の定義から農業・都市・1930年代ダストボウル事例まで解説。原因・影響と実践的な対策で土壌保全を学ぶ入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

土壌侵食とは、土壌の表層部(土)が(水や風によって)洗い流されたり吹き飛ばされたりすることです。これは、農家にとって深刻な問題です。土が侵食されると、食料となる作物があまり育たなくなるのです。

1930年代のアメリカ中西部のダストボウルでは、土壌の浸食が大きな問題となっていました。

また、浸食によって大きな陥没が生じると、建物の強度が低下し、倒壊の原因になることもあります。都市部は土壌侵食から守られているため、侵食によって建物が倒壊することはあまりない。

土壌侵食の主な原因

  • 水による侵食:降雨や融雪による表面流水が土を運ぶ。シート侵食、リル(小さな溝)侵食、ガリー(大きな溝)侵食などの形で進行する。
  • 風による侵食:植生がない乾燥地や耕作放棄地で風が細粒土を飛ばす。砂塵嵐やダストボウルのような大規模事象を引き起こす。
  • 人為的要因:森林伐採、過放牧、過度の耕作、道路・建築工事、採掘などで保護する植生や土の構造が失われる。
  • 不適切な農法:等高線と逆方向の耕作、単一作物の連作、裸地での長期間の放置など。
  • 気候変動・干ばつ:降雨パターンの変化や長期的な乾燥化により侵食が加速する場合がある。

影響(農業・環境・都市)

  • 農業生産性の低下:表層の有機物や養分が失われ、土壌の保水力や通気性が低下して作物の収量が落ちる。
  • 水質悪化と堆砂:侵食で運ばれた土は河川やダムに堆積し、洪水リスクの増大や生態系の変化、飲料水・灌漑水の汚染を招く。
  • 生物多様性の損失:植生や微生物群集が失われ、土壌生態系が破壊される。
  • 健康被害:風による細粒土は大気中の粉じんとなり、呼吸器疾患を引き起こすことがある(砂塵暴やPM問題)。
  • インフラ被害:斜面崩壊や基礎の洗掘は道路、パイプライン、建物に被害を与える。都市部は一般に保護されているが、開発による裸地や擁壁のない斜面は脆弱。
  • 社会経済的影響:生産性低下による収入減、移住や土地価値の減少、復旧コストの増大など。

ダストボウル(1930年代)の教訓

1930年代のダストボウルは、長年の集約的耕作で先住草原の保護力が失われ、干ばつが重なって大量の風食が発生した例です。結果として大規模な砂塵嵐、収量の激減、住民の移動が生じました。これを受けてアメリカでは土壌保全のための技術開発と政策(例:土壌保全局、輪作、等高耕作、風防林の導入)が進められ、侵食対策の重要性が広く認識されるようになりました。

具体的な対策と実践方法

  • 農地での対策
    • 不耕起(ノー・ティル)や低耕起による表土保護。
    • 被覆作物(カバークロップ)や輪作で地表を覆い、有機物を回復する。
    • 等高耕作、段々畑(テラス)、畝立てなどで流出速度を下げる。
    • 土壌改良(堆肥、緑肥)で土の構造と保水性を改善する。
    • 風防林・防風垣で風速を下げ風食を防ぐ。
  • 都市・開発地での対策
    • 透水性舗装、雨庭(レインガーデン)、バイオスウェール等の緑インフラで表面流出を抑える。
    • 工事現場ではシルトフェンス、エロージョンマット、仮植生(仮芝・ワラ覆い)で裸地の露出を最小化。
    • 擁壁・排水設計を適切に行い、斜面安定化を図る。
  • 流域管理・自然回復:河川敷や保安林の再植林、河道の保全で堆砂や洪水リスクを抑制。
  • 政策・教育:補助金やインセンティブ、法規制、農家や市民への教育・普及活動。
  • 緊急対応:崩落や大雨直後の裸地には仮設の被覆(シートやマルチ)、種子散布、降雨を一時的に抑える排水設置など。

現場でのチェックポイント(簡易診断)

  • 裸地や露出した根、表面に流れた小さな溝(リル)があるか。
  • 近隣の流路に濁った水や堆砂の増加が見られるか。
  • 風で土が舞う場所や周辺の作物の生育不良があるか。
  • 土壌の色が薄く、有機物が減っている兆候があるか。

まとめ

土壌侵食は農業生産、環境、インフラ、健康に幅広い影響を与える問題です。原因は自然要因と人為要因が絡み合っており、防止には農法の改善、植生管理、工事時の対策、流域全体での計画的な管理が必要です。歴史的事例(ダストボウルなど)から学びつつ、地域の気候や土地利用に応じた複合的な対策を組み合わせることが重要です。

侵食された牧草地、オーストラリアZoom
侵食された牧草地、オーストラリア

イスラエル・マフテッシュラモン、ワジ沿いの重力侵食。Zoom
イスラエル・マフテッシュラモン、ワジ沿いの重力侵食。

砂嵐、テキサス州スピアマン、1935年4月14日Zoom
砂嵐、テキサス州スピアマン、1935年4月14日

土壌を侵食から守るためのステップ

土壌侵食は、いくつかの方法で保全することができます。

  • ウィンドブレイクは、風を止めたり遅らせたりするために植えられた植物の列のことです。作物畑の横に茂みや低木を植えておくと、風で土が飛ばされるのを防ぐことができます。この方法は、土が流されるのではなく、茂みの根に巻き込まれるため、水の浸食に対しても有効です。
  • テラスとは、丘陵地に作られた平らな場所のこと。テラス農業に利用される。
  • もし作物が斜面に生えているのであれば、上下にではなく、斜面を横切るように等高線上に植えるのがよいでしょう。つまり、南向きの斜面であれば、東から西に向かうように植えるのです。
  • 砂浜にはグロイン(木の板)を敷いて浸食を防ぎ、崖には防波堤を設けて崖を保護することができます。


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