概要

ブドウ球菌科は、主として球形のグラム陽性細菌からなる細菌群で、ヒトや動物の皮膚や粘膜に広くみられます。簡潔な分類学的まとめは科レベルの資料を参照してください。この科の構成員は、臨床医学、獣医学、環境微生物学の各分野で重要です。

主な特徴

この科の種は、他の細菌と区別するのに役立つ形態学的・生理学的特徴をいくつか共有しています。代表的な特徴は次のとおりです。

  • グラム陽性の細胞壁構造と、丸い球菌状の細胞形態。一般的な説明はグラム陽性菌も参照してください。
  • ブドウの房のような細胞塊をつくる傾向がありますが、配列は属や培養条件によって異なります。
  • 運動性がなく、芽胞を形成せず、多くは酸素がなくても生育できる通性嫌気性です。
  • 高濃度の塩に耐えるものが多く、マンニット食塩寒天などの選択培地で増殖します。

属と代表的な種

最もよく知られる属はStaphylococcusで、無害な常在菌と臨床的に重要な種の両方を含みます。Staphylococcus aureus は主要なヒト病原菌であり、他のブドウ球菌は一般に毒性が低いものの、日和見感染を起こすことがあります。関連する属として Macrococcus があり、さらに遺伝学的解析によって定義された新しい分類群もいくつかあります。

臨床的重要性と例

この科の一部の菌は、皮膚感染症、創傷感染症、骨・関節感染症、菌血症、心内膜炎、そして食中毒のような毒素媒介性疾患の原因となります。抗菌薬耐性、とりわけメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、重大な公衆衛生上の問題です。病原性の広い概念については病原体の概要を参照してください。

検査室での同定と区別

検査室では、基本的な方法としてグラム染色、カタラーゼ試験(ブドウ球菌はカタラーゼ陽性)、凝固酵素試験による凝固酵素陽性の S. aureus と凝固酵素陰性ブドウ球菌の判別、さらに選択培地を用いた培養が行われます。より正確な同定やアウトブレイク追跡のために、分子法や全ゲノムシーケンシングもますます利用されています。

歴史と分類

歴史的には形態学的特徴と生化学的性質に基づいてまとめられていましたが、現在では遺伝学的・系統学的研究によってこの科の構成が洗練されています。その結果、一部の種は再分類され、新しい属も認識されるようになりました。従来の特徴と現代の遺伝データの両方を理解することは、ブドウ球菌科内の関係性と、健康、疾患、生態における役割を明らかにするうえで役立ちます。