概要
「タンジェント」という語は、数学ではいくつか関連する意味で使われ、日常語でも用いられる。広くは、ある点で接すること、またはそれに近い線形近似を指す。数学では通常、三角関数 tan、曲線の接線、曲面の接平面、そして多様体の接空間を意味する。
三角法におけるタンジェント
直角三角形で角を測るとき、タンジェントはその角の対辺の長さを隣辺の長さで割った比である。単位円では sin θ / cos θ の比として表される。タンジェント関数は周期 π をもち、奇関数であり(tan(−θ)=−tan θ)、cos θ = 0 となるところで垂直漸近線をもつ。
接線と微積分
幾何学では、接線は曲線に1点で触れ、その点での曲線の瞬間的な方向に一致する。解析的には、ある点での接線の傾きは割線の傾きの極限として定義され、曲線が微分可能なら導関数に等しい。接線は一次近似 f(x) ≈ f(a)+f'(a)(x−a) を与える。
接平面と接空間
より高次元の対応物として、3次元空間内の曲面に対する接平面や、微分可能多様体の接空間がある。接平面は、ある点の近くで曲面を平らなアフィン平面として近似する。多様体上の点における接空間は、その点を通る曲線の取りうる速度ベクトル全体からなるベクトル空間であり、微分幾何学の多くの基礎を成す。
主要な恒等式と事実
- 定義: tan θ = sin θ / cos θ。
- 導関数: d/dx[tan x] = sec^2 x = 1 + tan^2 x。
- 加法公式: tan(a + b) = (tan a + tan b)/(1 − tan a tan b)(分母 ≠ 0 のとき)。
- 極: tan x は x = π/2 + kπ(k は整数)で単純極をもつ。
歴史、用法、区別
この語はラテン語 tangens「触れる」に由来する。接触の考え方は古典幾何学にさかのぼり、接線と瞬間的な傾きの厳密な定式化は17世紀の微積分の進展とともに現れた。日常語では、本題にただ触れるだけの発言を指すこともある。数学では、接線は曲線を切る割線や、接線に垂直な法線と対比される。