2バルク書(シリア語バルク黙示録)
紀元1世紀末から2世紀初頭に成立したとされるユダヤ教の偽典。エルサレムの破壊、終末論、神の正義をめぐる思索を示し、主にシリア語写本で伝わる。
概要
2バルク書は、しばしば「シリア語バルク黙示録」と呼ばれるユダヤ教の偽典で、ローマによるエルサレム破壊の直後に成立したと考えられている。著者はエレミヤの書記官バルク・ベン・ネリヤを名乗るが、現代の研究では、これは紀元1世紀末から2世紀初頭にかけて成立した後代の匿名作品とみなされる。本文は、神殿の破壊がもたらした衝撃に応答し、神の正義がいかに苦難と両立するのかを問いかける。
著者、成立年代、歴史的背景
旧約聖書の人物に帰されているものの、この書は偽名作品である。多くの研究者は、成立を70年以後、かつバル・コクバの反乱(132–135年)の勃発以前に置く。エルサレムへの嘆き、流刑と回復をめぐる問い、来るべき時代への期待といった背景と関心は、神殿崩壊後のユダヤ教的黙示思想が災厄に応答したものとしてこの書を位置づけている。
内容と構成
2バルク書は慣例的に87節に分けられ、嘆き、預言的勧告、天使による幻の解釈、教訓的な論説など、複数の文学形式を組み合わせている。主な特徴は次のとおりである。
- 神に向けられた冒頭の嘆きと嘆願
- 幻を説明する天使の解釈者との対話
- 裁き、復活、義人の正しさの証明に関する終末論的預言
- 悔い改めと信仰をもって耐え抜くことへの倫理的勧告
主題と神学
この作品は、義人がなぜ苦しむのかという神義論の問題に取り組み、将来の回復の約束を通じて慰めを与える。そこでは復活と、遅れてはいても確実な神の報いが語られる。同時代の一部の文書とは異なり、2バルク書は道徳的責任を強調し、共同体が神の最終的な介入を待つあいだ耐え続ける必要を説く。
本文伝承と受容
2バルク書は主としてシリア語写本に残り、東方キリスト教圏で伝えられた。ヘブライ語・ギリシア語の文献群の外にある一部の版に見られ、写本集のなかでは他の黙示文学と並んで収められることもある。また、ペシッタ伝承との関係が指摘され、外典や旧約付加文書のさまざまな刊本にも掲載されている(旧約聖書の版)。
正典性と影響
ラビ・ユダヤ教も主流派キリスト教諸教派も、2バルク書を正典聖書とは認めていない(一般にユダヤ教およびキリスト教の伝統では外される)。いくつかの東方教会や中世のシリア語写本はこれを保存し、シリア正教の歴史的文献群でも時に伝えられてきた(シリア正教会)。神学上の近さと成立年代の近接性から、2バルク書はしばしば70年以後の他の黙示録と比較され、苦難、希望、歴史の終わりについてのユダヤ思想を知るうえで貴重な証言とされる。研究者はまた、この書が、証明可能な聖書的権威というより宗教文学として扱われてきた点にも注目している(聖書)。
一次資料や学術版に関心のある読者には、シリア語本文に英訳と批判注を付した各種翻訳・注解が利用できる。これらは、2バルク書をユダヤ教偽典および初期黙示文学の広い文脈のなかに位置づける助けとなる。
関連項目
著者
AlegsaOnline.com 2バルク書(シリア語バルク黙示録) Leandro Alegsa
URL: https://ja.alegsaonline.com/art/112785