エルンスト・イングマール・バーグマンErnst Ingmar Bergman (help-info) (IPA: スウェーデン語では['ɪŋmar 'bærjman]、英語では通常IPA: [ˈbɝgmən] ) (1918年7月14日 - 2007年7月30日)は、スウェーデンの舞台・映画監督。イングマール・バーグマンは、人間の条件を探究する彼の作品の中に、荒涼と絶望だけでなく、喜劇や希望も見いだした。彼は現代映画の偉大な巨匠の一人とみなされています。

アメリカ人のウディ・アレンロバート・アルトマンロシア人監督のアンドレイ・タルコフスキー、台湾人監督のアン・リーなど、世界中の多くの映画人がバーグマンの作品を作品に大きな影響を与えたと挙げています。

生涯と経歴(概略)

バーグマンは1918年にスウェーデンのウプサラ県で生まれました。厳格なルター派の牧師の家庭で育ち、宗教的・倫理的な問いかけが幼少期から彼の関心事となりました。ストックホルムの大学では文学や哲学に親しみ、その後舞台演出に進出。映画監督としての活動は1940年代から始まり、1950年代から世界的注目を集めるようになります。

舞台演出と映画制作を並行して行い、脚本の多くは自作または共同執筆で、自身の関心である孤独、死、信仰、男女関係などを繰り返し掘り下げました。晩年まで精力的に映画・演劇・テレビ作品を手がけ、2007年に89歳で死去しました。

代表作(主要作品)

  • 第七の封印(The Seventh Seal / Det sjunde inseglet, 1957)— 死神とのチェス、存在の問いを象徴的に描いた代表作。
  • 野いちご(Wild Strawberries / Smultronstället, 1957)— 老年期の回想と自己再発見を扱った作品。
  • 夏の夜の微笑(あるいは『夏の夜の笑み』)(Smiles of a Summer Night / Sommarnattens leende, 1955)— ロマンティック・コメディの技巧を見せた作品。
  • 仮面/ペルソナ(Persona, 1966)— 同一性と言語・沈黙を巡る実験的な映画。
  • 叫びとささやき(Cries and Whispers / Viskningar och rop, 1972)— 色彩と室内配置で心理を強烈に表現。
  • ファニーとアレクサンデル(Fanny and Alexander / Fanny och Alexander, 1982)— 家族と幻想を描いた大作。映画版とテレビシリーズ版がある。
  • 処女の泉(あるいは『乙女の泉』)(The Virgin Spring / Jungfrukällan, 1960)やある鏡のなかに(あるいは『鏡の中に』)(Through a Glass Darkly / Såsom i en spegel, 1961)など、宗教的テーマを扱った作品群も重要です。

作風と主題

バーグマンの作風は次の要素で特徴づけられます。

  • 哲学的・宗教的問い: 神の沈黙、信仰と懐疑、死の意味などを繰り返し扱う。
  • 人物中心の演出: 登場人物の内面を対話と演技で掘り下げることを重視し、長いクローズアップや静的な構図を多用。
  • 演劇性と映画技法の融合: 舞台演出の経験からくる俳優の演出、舞台的構成を映像に取り入れつつ、夢や記憶を映画的に再構成する。
  • 女性像と人間関係: 複雑で多面的な女性像、家族や男女の関係性の細やかな描写が特徴。
  • 映像美: 撮影監督スヴェン・ニクヴィスト(Sven Nykvist)との協働により生まれた光と影、色彩の表現が作品の大きな魅力。
  • ユーモアと悲劇の共存: 絶望的な主題にもブラックユーモアや人間味が織り込まれる。

主要な協働者

バーグマンは特定の俳優・スタッフと長く協働しました。代表的なのは俳優のマックス・フォン・シドー(Max von Sydow)リヴ・ウルマン(Liv Ullmann)ビビ・アンデション(Bibi Andersson)グンナル・ビョーンストランド(Gunnar Björnstrand)ら、そして撮影監督のスヴェン・ニクヴィストです。これらの協働によって俳優の内面表現や映像美が緻密に形成されました。

影響と評価

バーグマンの映画は世界中の映画作家や批評家に強い影響を与えました。本文でも触れられているように、ウディ・アレンロバート・アルトマン、アンドレイ・タルコフスキー、アン・リーなど多くの映画人がその影響を公言しています。物語よりも存在の問いかけや内面描写を重視する手法、演技重視の演出と象徴的イメージの併用は、現代映画の語りと表現に大きな痕跡を残しました。

受賞と栄誉

国際映画祭や映画賞で多数の評価を受け、バーグマンは映画史上もっとも評価された監督の一人です。彼の作品は各国で高い評価を受け、映画芸術への貢献により様々な賞や栄誉が贈られました。

人物・私生活

バーグマンは私生活でも多くの人間関係や結婚を繰り返し、その経験が作品の人間描写に反映されています。晩年には自伝的な作品や回想録を発表し、自身の創作と人生について多くを語りました。

遺産

バーグマンの遺した映画は、映像表現や演出の教科書的な位置を占め続けています。映画学校や批評・研究の対象となり、今日でも新しい世代の映画作家や観客に再発見され、上映・研究が続いています。彼が問いかけた根源的なテーマ――存在、死、信仰、愛――は時代を越えて普遍的な共鳴を持ち続けています。