スティーブン・ボイド(1931年7月4日 - 1977年6月2日)は、北アイルランド出身の俳優で、1950年代後半から1960年代にかけての大作映画で印象的な存在感を示しました。北アイルランド生まれ。舞台を経て映画に進出し、力強い二枚目役やスペクタクル映画で知られています。
生い立ちとキャリアの始まり
ボイドは若い頃に演劇活動を始め、アメリカやカナダの舞台作品にも出演しました。スクリーンデビューは1950年代で、1955年ごろからイギリス映画にも進出しています。舞台で培った存在感と端正な容姿が評価され、映画界での活動範囲を広げていきました。
代表作と評価
1959年の超大作『ベン・ハー』での「メッサーラ」役は彼の出世作であり、チャールトン・ヘストンのライバルかつ宿敵として強烈な印象を残しました。脚本にクレジットされていないゴア・ヴィダルは、「メッサーラ」に同性愛的な雰囲気を出したいと考えていたと述べており、ヴィダルは監督のウィリアム・ワイラーとボイドを説得して、二人の関係性に別の解釈を与えたとされています。この点については後にヘストンが知って激怒したエピソードが伝えられています。ボイドはこの『ベン・ハー』での演技により、ゴールデン・グローブ賞を受賞しました。
その後もボイドは大作に多数出演しました。候補に挙がった作品の一例として、1963年の『クレオパトラ』でエリザベス・テイラーと対峙するマーク・アントニー役に最初に名前が上がっていましたが、テイラーの病気による製作延期のためにスケジュールが重なり、結局制作から離脱しています。実際のアントニー役はリチャード・バートンに決まりました。
主な出演作(抜粋)
- 『ベン・ハー』(1959年)- メッサーラ役
- 『ビリー・ローズのジャンボ』(1962年)
- 『クレオパトラ』(候補、最終的には不参加)
- 『ローマ帝国の崩壊』(1964年)- ソフィア・ローレン、クリストファー・プラマーと共演
- 『ジンギスカン』(1965年)
- 『ファンタスティック・ボヤージュ」(Fantastic Voyage)(1966年)- 主演
- 『バイブル』(1966年)などのスペクタクル作品
『ファンタスティック・ボヤージュ」(Fantastic Voyage)での共演者ラケル・ウェルチに性的に誘惑されたという逸話や、彼の言葉「女優は女より少し多いが、俳優は男より少し少ない」といった発言が取り沙汰され、これをもって彼の私生活について憶測が生じることもありました。しかし、ボイド自身は公的に性的指向を公表したことはありません。
私生活と人物像
ボイドは短期間の結婚を二度経験していますが、どちらも長続きしませんでした。公私ともに華やかなスター性を持つ一方で、時に良い脚本や役を選ぶのに苦労したとの評もあります。1960年代後半以降は大作の主役からやや距離を置くようになり、ヨーロッパで製作された小規模な作品にも出演しました。
死と遺産
1977年6月2日、カリフォルニア州でゴルフをしていた際に心臓発作で亡くなりました。享年45。短い生涯ながら『ベン・ハー』のメッサーラ役をはじめとするスクリーン上の強烈なイメージは長く残り、1960年代のスペクタクル映画を象徴する俳優の一人として記憶されています。
評価としては、その端正な容姿と演技力によって大作の中で強い存在感を示した一方、キャリア終盤には作品の選択に苦労したという見方があり、今日でも名作での鮮烈な役柄を通じてファンや研究者の注目を集めています。