概要
犬ジステンパーは、モルビリウイルス属に属する一本鎖のマイナス鎖RNAウイルスによって起こる感染症である。主に食肉目の動物に影響し、軽い呼吸器症状から重い神経疾患まで、さまざまな病態を示す。広くワクチン接種が行われているにもかかわらず、このウイルスは家庭動物と野生動物の双方で依然として重要である。一般的な疾病情報は疾病リソースを参照。
宿主範囲と分類
このウイルスは、いくつかの食肉目の科に感染する。代表的な宿主は次のとおり。
- イヌ科(犬、オオカミ、キツネ)
- イタチ科とフェレット(フェレットは特に感受性が高い)
- アライグマ科(アライグマ)
- スカンク科とスカンク類(種間伝播に関与することが多い)
- 一部の大型ネコ科(野生ネコは感染しうるが、家庭猫は別のウイルスにかかる)
分子レベルでは、この病原体は一本鎖RNAをもつRNAウイルスであり、パラミクソウイルス科に属する。はしかウイルスや牛疫ウイルスと近縁である。
臨床症状と診断
臨床像は多様である。初期には呼吸器系と消化器系の症状がよく見られ、回復例や一部の症例では、初感染から数週間から数か月後に神経症状が現れる。一般的な所見には次のものがある。
- 発熱、鼻汁、眼脂
- 咳、肺炎
- 嘔吐、下痢、脱水
- けいれん、運動失調、筋肉のぴくつき、行動変化
伝播は通常、エアロゾルまたは直接接触による。診断は、臨床評価に加えて、PCR、血清学、ぬぐい液や組織からのウイルス検出などの検査を組み合わせて行う。
予防、治療と管理
ジステンパーを確実に治す特異的な抗ウイルス薬はなく、治療は主として支持療法であり、二次感染や神経合併症の管理を目的とする。弱毒生ワクチンまたは組換えワクチンによる予防接種は非常に有効で、家庭動物における対策の要となる。野生動物のリザーバーへの接触を抑え、感受性のある動物に速やかに接種することが、流行予防に役立つ。
歴史と重要性
犬ジステンパーは1世紀以上前から知られており、宿主範囲が広く、未接種の集団では高い死亡率を引き起こしうるため、今も重要な病気である。保全活動に携わる人々は、野生の食肉目での発生を監視している。これは、流行が絶滅危惧種を脅かすおそれがあるためである。より詳しい参考文献や指針は一般的な参考資料や、臨床ガイドラインのような獣医学資料、さらにイヌ科の資料や野生動物の健康ページなどの種別情報を参照するとよい。
追加情報は獣医学の教科書や公衆衛生資料から得られる。さらに読む場合は、保全関連ページ、比較ウイルス学、フェレット向けの参照資料、ウイルス構造に関する資料、パラミクソウイルス科の資料を参照。