定義

凸集合とは、実ベクトル空間の部分集合で、集合内の任意の2点を結ぶ直線線分がすべて集合の中に含まれるという性質をもつものです。よく知られたユークリッド空間では、点 x と y が領域 S に属するとき、0 <= t <= 1 を満たすすべての t について、(1-t)x + t y の形で表される点も S に属します。この単純な判定条件は、くぼみのない形という直感的なイメージを的確に表しています。

主な性質

  • 凸集合に含まれる点の任意の凸結合(非負の重みを用い、その和が 1 になる有限個の加重平均)も、その集合にとどまります。
  • 任意個の凸集合の共通部分は凸ですが、和集合は必ずしも凸とは限りません。
  • 凸集合のアフィン写像による像と逆像は凸です。そのため、平行移動、拡大縮小、線形写像の下で凸性は保たれます。
  • 凸集合は、穏やかな条件のもとで超平面によって分離できます。この事実は解析や最適化で広く用いられます。

例と反例

基本的な例としては、実数直線上の区間、円板や球、凸多角形や凸多面体、そして任意のアフィン部分空間があります。集合の凸包は、それを含む最小の凸集合であり、集合内の点の凸結合をすべて取ることで得られます。典型的な反例は、空洞や穴をもつ形です。たとえば三日月形、環状領域、または内側にくぼみのある星形領域は、内部の2点を結ぶ線分の一部が領域の外に出るため凸ではありません。

歴史と意義

凸性の概念は古典幾何学に起源をもち、19世紀から20世紀にかけて、凸幾何学や関数解析の一部としてさらに発展しました。Helly 型の交差定理、Carathéodory 型の表示定理、分離定理などの深い結果により、凸集合は純粋数学と応用数学の双方で中心的な対象となっています。

応用と関連概念

凸集合は凸最適化の基礎です。実行可能領域と目的関数の両方が凸であれば、局所最小値は大域最小値になり、解析と計算が容易になります。また、経済学では効用集合や生産集合、確率では分布の集合、計算幾何では衝突検出や凸包アルゴリズムに現れます。関連する用語としては、厳密凸(境界上に線分が存在しないこと)や凸関数があります。凸関数では凸な上側グラフ、つまりグラフの上にある集合が凸集合になります。凸集合の境界は、凸曲線で構成されることもあれば、多面体の場合には平らな面の集まりとして現れることもあります。