概要:ダルマチアペリカン(Pelecanus crispus)は、ペリカン科に属する大型の水鳥である。ずんぐりした体、長いくちばし、広いのど袋で知られ、浅い淡水域や沿岸湿地で見られることが多い。この種は、ユーラシアの一部に広がる湿原、ラグーン、湖沼の群集の中で、ひときわ目立つ存在である。
外見と体のつくり
成鳥は、現生の飛ぶ鳥の中でも最大級に数えられる。がっしりした体つき、長い首、広い翼開長をもち、体長や翼開長は個体差や地域差を反映して幅のある値で示されることが多い。羽衣は一般に銀白色から灰色で、頭部には乱れた羽毛があり、うなじに巻き毛のような、あるいは冠羽のような特徴的な見た目がある。このため種小名 crispus の由来ともなっている。繁殖期には、裸出した顔の皮膚やくちばしののど袋がより鮮やかな色になることがある。
分布と生息地
ダルマチアペリカンは、ユーラシアの広い帯にわたって繁殖し、越冬もする。分布は東南ヨーロッパから中東の一部を経て、パキスタンや中国にまで及ぶ。好む生息地は、浅い湖、沼地、河口デルタ、沿岸のラグーンなどで、開けた水面と豊富な魚が採食や集団営巣を支えている。一部の個体群は季節移動を行うが、条件が一年を通して良ければ留鳥としてとどまるものもある。
採食、繁殖、行動
主に魚を食べる。泳ぎながら、くちばしと伸縮する咽頭嚢を使って獲物をすくい取るので、典型的な急降下採餌はしない。採食は単独のこともあれば、小群で魚を浅瀬へ追い込むように協調して行うこともある。繁殖は集団で行われ、鳥は島、ヨシ原、または浮遊する基盤の上に植物を使って巣を作り、通常は少数の卵を産む。コロニーは、人の攪乱や水位変動に敏感な場合がある。
保全と人間との関わり
分布域全体で、この種は湿地の排水、汚染、迫害、送電線との衝突などの脅威にさらされてきた。保全の対応としては、重要な湿地の保護、水位管理、人工の営巣地の造成、地域ごとの再導入や個体群強化の事業などがある。個体群が減少した地域では、監視と生息地の回復が引き続き重要である。
注目すべき点
- ダルマチアペリカンは、最も大きく最も重い飛翔鳥の一つとして広く見なされ、ペリカン類の中では平均して最重量級とされることが多い。
- 巻いたうなじの羽毛と、繁殖成鳥の大きな黄橙色ののど袋によって、よく似た種と区別できる。
- 集団で営巣し、採食には広い浅水域を必要とするため、分布域では湿地の健全性を示す指標として役立つ。
地域個体群、保全活動、識別の詳細については、専門のフィールドガイドや地域の湿地保全団体の資料を参照するとよい。多くの公開資料や研究要約が、オンラインや保全ネットワークを通じて利用できる。