ディジュリドゥは、オーストラリアのアボリジニの管楽器である。アーネム・ランドのヨルグヌ族が使用していた。ディジュリドゥは、長さが1~3mと非常に長い楽器です。ほとんどは1.2m程度です。長ければ長いほど、楽器のピッチやキーは低くなります。中空の木管で、形状は円筒形と円錐形があります。木製のトランペットやドローンというのが一番しっくりくる。音楽学者は、真鍮製のエアロフォンだと言う。
歴史と文化的背景
ディジュリドゥは主にオーストラリア北部、特にアーネム・ランド周辺の先住民コミュニティで古くから使用されてきました。正確な起源年代を特定するのは難しいですが、アーネム・ランドのロック・アートの研究では、1,500年以上前から使われていたことがわかっているとされます。アーネム・ランド高原の北端にあるGinga Wardelirrhmengのロック・ペインティングは、淡水期のものであり、そこにはディジュリドゥ奏者と2人の歌手が儀式で演奏している様子が描かれている。
名称と地域差:英語では "didgeridoo"(発音は地域や表記により異なる)と呼ばれますが、ヨルング族などの各言語では yidaki など別の名称が用いられます。呼び方や演奏のルールは民族や地域によって異なり、宗教的・儀礼的に特別な意味を持つものもあります。
構造と材料
- 素材:伝統的にはユーカリの木の幹が使われ、白蟻(シロアリ)が内部を自然に中空にしたものを採取して加工します。現代では竹、PVC、金属、真鍮や合成樹脂なども使用されます。
- 形状:基本は中空の管で、内径や内側のテーパー(円筒形か円錐形)により音色が変わります。
- 長さと音高:長さは約1〜3mで、一般的には約1.2mが多いです。長いほど低いドローン音になります。
- マウスピース:多くの伝統的ディジュリドゥにはビーズワックス(蜜蝋)で形成したマウスピースが付けられ、唇の当たりを良くして空気漏れを防ぎます。現代楽器にはゴムやプラスチックのマウスピースを使うこともあります。
奏法(演奏技術)
ディジュリドゥの基本は、唇の振動で持続的なドローン(低音の持続音)を作ることです。特徴的なのは以下の技術です。
- 円呼吸(サーキュラーブリージング):口内に空気をためながら鼻で呼吸する技術により、息継ぎのために音を途切れさせずに長時間の演奏が可能になります。ディジュリドゥ演奏の必須技術として知られています。
- 声と喉の共鳴:唄うような声や喉の振動を同時に加えることで倍音やリズム、メロディ的な表現を行います。歌や口唱(ボーカル)を楽器と同時に行うのが伝統的なスタイルです。
- 舌や唇による効果:舌打ちや唇の開閉、舌の位置でドローンにパーカッシブなアクセントや変化をつけます。
- 倍音の操作:唇や口腔の形、喉の共鳴によって倍音(ハーモニクス)を強調し、複数の音色を作り出します。
音楽的役割と伴奏
伝統音楽ではディジュリドゥは儀式や物語歌の伴奏として用いられ、歌(チャント)やクラップスティック(打楽器)と組み合わせて演奏されます。ドローンは物語の背景音を作り出し、歌の節回しやリズムを支えます。現代音楽ではソロ楽器として、またロックや実験音楽、ワールドミュージックとの融合でも用いられています。
社会・儀礼上の取扱い
ディジュリドゥは単なる楽器以上の文化的意味を持ちます。コミュニティによっては特定の儀礼・性別・血統に結び付けられており、演奏や公開に関して地域の習慣や禁忌が存在します。演奏や展示に際しては、その土地の文化的慣習や権利を尊重することが重要です。
現代での普及と保存
20世紀後半からディジュリドゥは世界的に知られるようになり、教育やセラピー(音響療法)にも応用されています。一方で、伝統的な製作技術や演奏法を後世に伝える活動、適切なレコーディングや博物館での保存、そして地域コミュニティの知的財産・文化的権利保護の取り組みが進められています。
まとめ — 聴く・学ぶときのポイント
- ディジュリドゥは長さや素材で音色が大きく変わる伝統楽器である。
- 演奏には円呼吸や声の同時使用、倍音操作など高度な技術が必要である。
- 地域によって名称や演奏ルールが異なり、文化的意味を理解して尊重することが大切である。
- 現代音楽や療法、教育など多方面で活用されているが、伝統の継承と地域の権利保護も重要な課題である。




