指数(べき乗)は、数に関する演算の一つです。乗算が足し算の繰り返しであるのと同様に、累乗(べき乗)は乗算の繰り返しです。べき乗は上付きの指数で表します。たとえば
ここで数 x を 底(基数)、数 y を 指数と呼びます。たとえば では 2 が底、3 が指数です。
整数指数(正の整数)
指数が正の整数 n のとき、a^n は a を n 回掛け合わせたものです。たとえば
2 の 3 乗を計算するには、2 を 3 回掛けます。したがって
の場合、
は指数です。例えば
23 = 2・2・2 = 8(音読:2 の 3 乗は 2 を 3 回掛けたもの)
- 例:53 = 5・5・5 = 125
- 一般:x2 = x・x
- 恒等:1x = 1(任意の数 x に対して)
指数が 2 のときは「二乗」と呼ばれ、平面図形の面積や正方形の辺の長さの二乗を表すことから馴染みがあります。たとえば a2 は a の二乗です。
は x の二乗(square of x)です。
指数が 3 のときは「三乗(立方)」と呼ばれ、立体(立方体)の体積を表すことに関連しています。a3 は a を三回掛けた値です。
は x の三乗(cube of x)です。
負の整数指数
指数が −1 のとき、a−1 は底 a の逆数になります。つまり
一般に指数が負の整数 −n(n>0)のときは
例えば
有理指数(分数指数)
指数が分数のとき、a1/n は a の n 乗根(n 次根)を表します。つまり
特に n=2 の場合は平方根です:
例:
一般の有理数指数 p/q(q>0)のときは、先に底の p 乗をとってから q 次根をとるか、あるいは q 次根をとってから p 乗をとることで定義できます:
無理指数(実数指数)
指数が有理数でない(無理数を含む実数)場合は、有理数の列で近似して極限を取ることで定義します。すなわち x を実数指数とすると、有理数列 x_n → x を用いて
ならば
によって a^x を定義します(適切な連続性の仮定の下で極限は一意に定まります)。
べき乗の計算に便利な性質(法則)
べき乗を扱う際に重要な恒等式を列挙します(定義域に注意:例えば除算のとき分母は 0 でないことなど)。
(積の n 乗)
(商の n 乗、b≠0)
(同じ底の積は指数を足す)
(同じ底の商は指数を引く、a≠0)
(負の指数)
(累乗の累乗は指数を掛ける)
(a≠0 のとき a^0 = 1)
これらの法則を用いると、複雑な表現の簡略化や計算が容易になります。たとえば (a·b)^n = a^n b^n、(a/b)^n = a^n / b^n(b≠0)、(a^r)^s = a^{r s} などです。
行列のべき乗(行列の指数)
行列の指数関数や行列のべき乗は、行列に対しても定義できます。ただし行列の乗算は一般に可換でないため、実数や複素数の場合と注意点が異なります。まず正方行列 A の自然数乗 A^n は A を n 回掛け合わせたものとして定義されます(A は正方行列である必要があります)。
単位行列 I に対しては I^2 = I·I = I となります。
また、行列の指数関数 exp(A) はテイラー級数を用いて定義されます:
exp(A) = I + A + A^2/2! + A^3/3! + …(級数の収束条件のもとで)
行列のべき乗や指数関数は微分方程式、線形代数、物理学など多くの分野で重要な役割を果たします。
補足・注意点
- 底や指数が負、分数、複素数になる場合は定義域や主値(特に複素数のべき乗)に注意が必要です。
- 実数指数 a^x は a>0 の場合に通常の連続関数として定義されます。a≤0 の場合は定義が制限されるか、複素解析の枠組みで扱われます。
- べき乗の法則は一般的に成り立ちますが、条件(底が 0 でない、対数の定義域など)を確認してください。
以上が冪乗(べき乗)の定義、主要な性質、負指数・分数指数・行列の場合の基本的な取り扱いです。必要に応じて各節を詳しく掘り下げて学んでください。