船外活動(EVA)とは|宇宙遊泳の定義・歴史・目的と装備をわかりやすく解説
船外活動(EVA)とは、宇宙飛行士が宇宙空間で宇宙船から降り、再び宇宙船に乗り込む行為を指します。一般には、地球を周回する宇宙船や宇宙ステーションの外で行う「宇宙遊泳」を意味しますが、月面を歩く「ムーンウォーク」のような月面での活動も船外活動に含まれます。アポロの宇宙飛行士は月面での船外活動(ムーンウォーク)を行い、試料採取や観測を実施しました。
概要と分類
船外活動は目的や環境によって分類できます。主な区分は次の通りです。
- 軌道上EVA:国際宇宙ステーション(ISS)や人工衛星の整備・組立て・観測のために行われるもの。
- 月面EVA(ムーンウォーク):月表面での探索や機器設置、サンプル採取など。
- 非常時EVA(コンティンジェンシー):故障対応や緊急脱出など予定外に行われる活動。
- 無給油(untethered)EVA:作業員が自分の推進装置で移動するタイプ(例:シャトル時代の短期間の実験)。
歴史の要点
- 1965年、ソ連のアレクセイ・レオーノフが人類初の船外活動を行いました(世界初の宇宙遊泳)。
- 同年、アメリカのエドワード・ホワイトも軌道上での最初期のEVAを実施しました。
- アポロ計画では月面での複数回のEVA(ムーンウォーク)が行われ、地質学的調査や機器設置が行われました。
- スペースシャトル時代からISS建設期、そして現在に至るまで、EVAは宇宙機の組立て・保守・修理に欠かせない技術であり続けています。
目的
- 宇宙機の組立て・保守・修理(例:太陽電池パネルの交換、外部機器の取り付け)。
- 科学観測とサンプル採取(月面や将来の月・小惑星での地質調査)。
- 宇宙ステーションの拡張や実験装置の設置。
- 緊急対応(漏れの修理、故障部品の交換など)。
主な装備と仕組み
船外活動には専用の宇宙服と補助装備が不可欠です。代表的な要素は次の通りです。
- 宇宙服(プレッシャースーツ):生命維持装置、酸素供給、温度制御、放射線・微小隕石からの防護を兼ね備えます。各国で方式が異なり、例としてはロシアのオルラン(Orlan)、アメリカのEMU(Extravehicular Mobility Unit)、中国の飛天(Feitian)があります。
- エアロック(気密室):船内と真空の間で気圧を調整する装置。乗降・減圧・再加圧を安全に行います。
- 命綱(テザー)と固定具:宇宙船からの逸走を防ぎ、作業位置を保持します。
- ツールと作業用器具:トルクレンチ、カメラ、ハンドレール、特殊ねじ回しなど、宇宙で使えるよう設計された工具群。
- 安全装置:小型の推進装置(SAFERなど)や通信機器、バックアップ酸素系など。
手順と準備
典型的なEVAは綿密な準備と段階的な手順で行われます。主な流れ:
- ミッション計画と詳細な作業手順書の作成
- 地上シミュレーションと訓練(水中での中性浮力訓練など)
- 宇宙服のチェックと整備、機材の取り付け
- 船内でのプレブリーズ(窒素抜き)や減圧手順の実施
- エアロック減圧、外部への出入り、作業実行
- 作業後の再加圧とデブリーフィング(振り返り)
主なリスクと対策
- 減圧症(潜水病):窒素が気泡化するリスクに対してプレブリーズや段階的減圧を行います。
- 微小隕石・デブリ被害:宇宙服の多層構造である程度防御しますが、貫通リスクは常に存在します。
- 極端な温度変化:服の温度制御システムで対応しますが、長時間の暴露は危険です。
- 通信断絶や機器故障:複数系統の冗長化や緊急手順で対応します。
- 人的要因:疲労や誤操作を防ぐため、十分な訓練と二重チェック体制を採ります。
現在の状況と各国の取り組み
ロシア、アメリカ、中国の宇宙機関は、それぞれ独自の宇宙服とEVA手順を持ち、国際宇宙ステーションの建設・維持や月・深宇宙探査に向けた技術開発を進めています。ISSでは定期的にEVAが行われ、外部構造の保守や新機器の取り付けが実施されています。
今後の展望
月・火星探査の拡大や商業宇宙活動の増加に伴い、船外活動の頻度と重要性はさらに高まります。より軽量で可動性の高い宇宙服、ロボットとの協働、無人支援システムの導入などにより、将来的には長距離・長時間のEVAや有人火星着陸後の活動が現実のものとなるでしょう。
船外活動は高度な技術と訓練、そして綿密な安全対策が求められる作業です。科学的・技術的成果を得るために不可欠な手段として、今後も発展が期待されています。


エド・ホワイト宇宙飛行士、ジェミニ4号でアメリカ初の宇宙遊泳を行う(1965年6月)
初の宇宙遊泳
1965年3月18日、ソビエト連邦の宇宙飛行士、アレクセイ・レオノフが初めて宇宙遊泳を行った。彼は、ボースホド2号宇宙船の外側で12分間過ごしました。アメリカ人初の宇宙遊泳は、エドワード・H・ホワイト2世で、1965年6月3日にジェミニ4号宇宙船の外側で36分間にわたり遊泳した。
1969年7月21日(世界時)、アポロ11号の月旅行でニール・アームストロングとバズ・オルドリンによって行われたのが、最初のムーンウォークである。この最初の月面歩行は2時間32分続いた。これまで12人の人類が月面を歩いた。
後日談
1973年、アメリカが初めて宇宙に送った宇宙ステーション「スカイラブ」の修理のため、宇宙飛行士が宇宙遊泳を行った。スカイラブは打ち上げ時に損傷していた。国際宇宙ステーション(ISS)の建設にも多くの宇宙遊泳が行われた。現在もISSを維持し、問題があれば修理するために、宇宙遊泳が行われている。


2011年8月3日、国際宇宙ステーションの外で作業をするセルゲイ・ボルコフ宇宙飛行士。
関連ページ
- 宇宙服
質問と回答
Q: 船外活動(EVA)とは何ですか?
A: 船外活動(EVA)とは、宇宙飛行士や宇宙飛行士が宇宙空間で宇宙船から降り、再び宇宙船に乗り込むことを指します。
Q: 「船外活動」とは宇宙で何をすることですか?
A: 「船外活動」とは、通常、地球を周回する宇宙船の外での宇宙遊泳を指しますが、月面でのムーンウォークを指すこともあります。
Q:地球と月の間を宇宙遊泳したアポロ宇宙飛行士は何人いますか?
A: 3人のアポロ宇宙飛行士が、宇宙船が地球に帰還する間、地球と月の間を宇宙遊泳しました。
Q:宇宙で船外活動を行った宇宙飛行士を送った国は?
A:ロシア、アメリカ、中国の宇宙飛行士が船外活動を行いました。
Q:船外活動と宇宙遊泳の違いは何ですか?
A:船外活動と宇宙遊泳に違いはありません。
Q:船外活動は通常どのような目的で行われるのですか?
A:船外活動は、宇宙船のメンテナンスや修理、または宇宙での科学実験のために行われます。
Q:船外活動が危険な理由は何ですか?
A: 船外活動は、宇宙空間の過酷な環境、放射線への暴露、宇宙服内の限られた酸素供給などの理由で危険な場合があります。