
ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置する共和制国家で、首都はブダペストである。ハンガリーは、スロバキア、ウクライナ、ルーマニア、セルビア、クロアチア、スロベニアがあると国境を接する。公用語はハンガリー語で、2004年から欧州連合(EU)に加盟している。ハンガリー語では「マジャルオルサーグ(Magyarország)」(直訳「ハンガリーの国」)、または「マジャル・ケーシュタールシャーグ(ハンガリー共和国)」と呼ばれ、国名は9世紀後半にこの地へ到来・定住したマジャール人部族に由来する。
地理と気候
国土はカルパチア盆地の中央に広がり、ゆるやかな丘陵と平野が中心。国土を南北に貫くドナウ川(ハンガリー語でドゥナ)と、ほぼ平行して流れるティサ川が重要な水系で、バラトン湖は中欧最大の湖として知られる。温泉資源が豊富で、世界有数の温泉湖ヘーヴィーズ湖もある。最高峰はマートラ山地のケーケシュ山(1014m)。気候は大陸性で、夏は暑く冬は寒い。降水は年間を通じて分布するが、初夏と秋にやや多い。
歴史の概略
- 895/896年ごろ:マジャール人がカルパチア盆地に定住。
- 1000年:イシュトヴァーン1世が戴冠しキリスト教王国が成立。
- 16〜17世紀:オスマン帝国の支配とハプスブルク家の統治が併存。
- 1867年:オーストリア=ハンガリー二重帝国成立。
- 1920年:トリアノン条約で領土を大幅に喪失。
- 1945年以降:社会主義体制へ。1956年に反ソ蜂起。
- 1989年:体制転換(民主化)。1999年にNATO加盟、2004年から欧州連合加盟。
政治制度
議会制共和制を採用し、国家元首は大統領、行政府の長は首相。一院制の国民議会(オルサーギュラーシュ)が立法を担う。行政区画は19県と首都ブダペストから成る。司法は憲法裁判所と通常裁判所で構成され、地方自治も発達している。シェンゲン協定には2007年に参加している。
経済
通貨はフォリント(HUF)。ユーロは導入していないが、EU単一市場の一員として貿易・投資が活発。自動車(アウディ、メルセデスなどの生産拠点)、電子機器、医薬品、IT、観光が主要産業で、農業では小麦、トウモロコシ、パプリカ、果実、ワイン(トカイ、エゲル、ヴィッラーニなど)が有名。中小企業が雇用を支え、研究開発分野も育っている。
社会と言語・文化
- 人口:約970万人前後(近年は微減傾向)。民族はハンガリー人が多数で、ロマ、ドイツ系、スロバキア系、ルーマニア系、クロアチア系、セルビア系などの少数派が暮らす。
- 宗教:歴史的にカトリックが多数だが、改革派(カルヴァン派)やルター派も多く、無宗教化も進む。
- ハンガリー語:ウラル語族に属する孤立的な言語で、周辺の印欧語とは系統が異なる。膠着語で母音調和や格語尾が発達している。
- 文化:音楽のフランツ・リストやベーラ・バルトーク、ゾルターン・コダーイ、科学のジョン・フォン・ノイマン、エルノー・ルビク(ルービックキューブ発明)、アルベルト・セント=ジェルジ(ノーベル生理学・医学賞)など世界的に著名な人材を輩出。
- 食文化:パプリカを多用するグヤーシュ(煮込みスープ)、ホルトバージ・パラチンタ、ランゴシュ、クルトゥシュカラーチ、デボシュ・トルタ、果実蒸留酒パーリンカ、貴腐ワインのトカイ・アスーが名物。
- 温泉と保養文化:ブダペストは温泉都市として知られ、セーチェーニ温泉、ゲッレールト温泉などの浴場が観光客に人気。
都市と観光
- ブダペスト:ドナウ川が都心を貫き、ブダ城地区、国会議事堂、連鎖橋、アンドラーシ通りなど見どころが集中。地下鉄M1はヨーロッパ大陸最古級(1896年開業)。
- ユネスコ世界遺産:ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区・アンドラーシ通り、ホルトバージ国立公園(プスタ)、パンノンハルマ大修道院と景観、アッグテレク・カルストの洞窟群、トカイ・ワイン産地など。
- バラトン湖:夏のリゾートとして人気。周辺にワイン産地や保養地が点在。
交通
主要高速道路(M1、M3、M5など)が放射状に延び、鉄道網も整備。ブダペスト・リスト・フェレンツ国際空港が国際玄関口で、国内外の都市と広く結ばれている。ドナウ川の水運や長距離バス網も利用しやすい。
実用情報
- 時間帯:中央ヨーロッパ時間(CET、UTC+1)、夏時間はCEST(UTC+2)。
- 国際電話:+36、インターネットTLD:.hu、車両国籍記号:H。
- 電源:230V・50Hz、プラグはC・Fタイプ。
- 治安・マナー:比較的良好だが、観光地でのスリには注意。チップ文化があり、レストランなどで会計の5〜10%程度が目安(サービス料込みの場合は不要)。

