インディアナポリス・モーター・スピードウェイIndianapolis Motor Speedway、通称IMS)は、アメリカ合衆国インディアナ州スピードウェイ(インディアナポリスの飛び地郊外)にあるモータースポーツ施設です。最も有名なレースは毎年5月に開催されるインディアナポリス500(Indianapolis 500)であり、またNASCARのブリッカード400(Brickyard 400)など多数のビッグイベントの本拠地でもあります。

歴史と概略

スピードウェイは1909年に創設され、創設者にはカール・G・フィッシャー(Carl G. Fisher)らがいます。建設当初は舗装にレンガ(brick)を用いたため「The Brickyard(ブリッカード)」という愛称が生まれ、現在もスタート/フィニッシュラインの一部に「ヤード(1ヤード)のレンガ」が保存されています。初のインディ500は1911年に開催され、以来、第一次世界大戦や第二次世界大戦(1917–18年、1942–45年)を除いて伝統的に毎年開催されてきました。

収容力と施設規模

常設観客席は約257,000人を収容でき、さらにインフィールド(内側の芝生や仮設観客席)まで含めると総収容数は約40万人に達するとされます。この巨大な収容力は「世界で最も大きなスポーツ施設の一つ」としてしばしば紹介されます。敷地内には観客席のほか、ピット、ガレージ、メディアセンター、ホスピタリティ設備など大規模なインフラが整っています。

コースの特徴

スピードウェイの伝統的なオーバルは 2.5マイル(約4.02km)の「長方形に近い」オーバル で、4つのコーナーがそれぞれ約1/4マイルの長さを持ちます。前後に長いストレート(約5/8マイル)と、短い「ショートシュート」(約1/8マイル)が配置され、これが独特のレース展開を生みます。バンク角は比較的控えめで、アメリカ国内の高バンク・オーバルに比べれば平坦に感じられますが、レーシングラインの性質は独特です。スタート/フィニッシュライン付近には当時のレンガ舗装が一部残されています。

1998年から2000年にかけて、オーバルのインフィールドを利用した近代的なインフィールド・ロードコースが整備され、オーバルと組み合わせた2.605マイル(4.192km)のレイアウトが作られました。さらに2008年に改修が行われ、オートバイレース向けの2.621マイル(4.218km)のコース設定が導入されました。これにより、フォーミュラカー、スポーツカーレース、MotoGPなど多様なカテゴリで使用可能となっています。

主なイベントと利用カテゴリ

  • インディアナポリス500(Indy 500):1909年の施設完成後、1911年に初開催。インディカー(IndyCar)シリーズの象徴的なレースで、モーターレース界で最も格式のあるイベントの一つです。
  • NASCAR:NASCARのブリッカード400は1994年から開催され、オーバルでの興奮ある競争を提供してきました。
  • F1:スピードウェイは2000年から2007年までフォーミュラ1のアメリカ合衆国グランプリの開催地になりました(ロードコースを使用)。
  • モーターサイクル:2008年にはインディアナポリス・モーターサイクル・グランプリが開催されるなど、二輪レースでも利用実績があります。

施設内の施設・博物館・ゴルフコース

敷地内には1956年開館のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ殿堂博物館があり、歴代のレーシングカー、パドック文化、インディ500ゆかりの展示物やペースカー・コレクションなどを収蔵・展示しています。また、1929年にオープンしたブリッカード・クロッシング・ゴルフ・リゾート(スピードウェイ・ゴルフコース)も敷地の一部に立地し、訪問客向けのレジャー施設として親しまれています。

保存・登録と現在の運営

インディアナポリス・モーター・スピードウェイは1975年に国家歴史的建造物登録簿に登録され、1987年には国家歴史的建造物にも指定されました。近年は所有構造や設備の近代化が進み、2019年にロジャー・ペンスキー率いるグループが所有権を引き継ぐなど運営体制の変化もありました。

主な記録と著名な勝者

A.J.フォイト(A.J. Foyt)、アル・ウンサー(Al Unser)、リック・ミアーズ(Rick Mears)は、それぞれ伝統的なオーバルであるインディ500を4回制覇したドライバーとして知られています。近年ではヘリオ・カストロネベス(Hélio Castroneves)も4勝を挙げ、この記録に名を連ねています。NASCARではジェフ・ゴードンがブリッカード400で4勝を挙げるなど、各カテゴリーで複数回優勝を重ねた名ドライバーが数多くいます。

初期の時代にはジョニー・エイトケン(Johnny Aitken)が1909年、1910年、1916年のシーズンに合計15勝(いずれもオーバル)を挙げ、コース通算勝利数の記録を残しています。また、フォーミュラ1のロードコース時代にはミハエル・シューマッハが同コースで複数回勝利を挙げるなど、世界的なビッグネームも数多く勝利を収めています。

まとめと現代的意義

インディアナポリス・モーター・スピードウェイは、モータースポーツの歴史と文化の象徴的存在であり、巨大な収容力と独特のコース形状、長年の伝統を有する施設です。インディ500を中心に、オーバルレース、ロードコースレース、二輪レース、そして文化施設としての博物館やゴルフ場を併せ持ち、世界中のモータースポーツファンを引きつけ続けています。