概要
イスラム教は中国に1000年以上前から存在し、シルクロードを通じた商人、旅人、宣教者、さらに海上交易によって伝わった。その長い歴史のなかで、ムスリム共同体は中国各地の社会・経済・文化の基盤に織り込まれ、幅広い宗教実践と地域伝統を生み出してきた。
歴史と発展
唐・宋朝の時代にアラブ人やペルシア人の商人との初期接触があり、港湾都市や内陸の交易路沿いに定着したムスリム共同体が形成された。その後の数世紀にわたり、イスラム教は改宗、通婚、軍事・商業移住者の定住を通じて広がった。中国の王朝はムスリムの生活を奨励したり、容認したり、制限したりと対応を変え、ある時期にはムスリムが有力な官僚、学者、商人として活躍した一方、反乱や弾圧によって関係が緊張することもあった。
共同体と地理的分布
中国のムスリムは民族的にも言語的にも多様である。最大の二集団は、主に中国語を話し、漢文化の要素を多く取り入れてきた回族と、新疆地域に集中するテュルク系言語話者のウイグル族である。ほかにも、サラール族、カザフ族、トンシャン族、ボナン族、キルギス族、タジク族といった公認のムスリム少数民族がいる。
- 回族: 広く分布し、都市部と農村部の双方に見られ、言語面では漢族に近い文化的特徴を持つことが多い。
- ウイグル族: 新疆に集中し、文化と言語の面でテュルク系の特徴が強い。
- その他の少数民族: それぞれ独自の言語と慣習を持ち、特に中国北西部に多い。
宗教生活・学派・建築
中国のムスリムの大多数は歴史的にスンナ派イスラム教、特にハナフィー法学派に従い、地域によってはスーフィー教団も発展した。中国のモスクには、イスラム建築と中国建築の融合が見られ、多くは地域の屋根形状、中庭、書法を取り入れている。中国におけるイスラム学術は中国語とアラビア語で独自の著作を生み出し、宗教生活にはハラールの食文化、儀礼の実践、共同体組織が長く含まれてきた。
近代の展開と現代的課題
20世紀には政治的混乱と国家政策が宗教実践を大きく変えた。共産主義期には、文化大革命の時期を含めて制限や中断があり、その後20世紀後半には一定の回復が認められた。2010年代以降は、特に新疆を含む一部地域で、宗教表現、文化生活、統治に影響する政策が国内外の注目と議論を集めている。ムスリム人口の推計はさまざまだが、現代の資料では数千万人規模とされ、国全体では少数派である。
中国のイスラム教の歴史と現状についてさらに知るには、追加の背景情報を参照してください。