概要

カオンは中間子の一群であり、ハドロンの中間子粒子、つまり1個のクォークと1個の反クォークから成る粒子である。広い意味では、内部にクォークと反クォークが結びついた素粒子である。カオンが他の中間子と異なる点は、奇(ストレンジ)フレーバーの構成要素を1つ含むことで、各カオンは奇クォークまたは奇反クォークを、上系または下系の相手とともに含んでいる。

クォーク構成と電荷

カオンには、異なるクォークの組み合わせから成る基本的な電荷・中性状態が4種類ある。正電荷のカオンK+は上クォークと奇反クォークから構成され、反粒子であるK−は上反クォークと通常の奇クォークを含む。中性カオンの族にはK0とその反粒子K̄0があり、それぞれ下クォークと奇反クォーク、または下反クォークと奇クォークから作られる。電気電荷は構成クォークと反クォークの電荷に従うため、組み合わせによって+1、0、−1が生じる。

種類、混合、寿命

単純なK+、K−、K0、K̄0という表示に加えて、中性カオンには重要な量子現象である混合が見られる。K0とK̄0は崩壊の静止状態ではなく、弱い相互作用を通じて、一般にK_LとK_Sと表される、長寿命成分と短寿命成分の2つの異なる組み合わせを形成する。この混合は粒子・反粒子振動の明確な例であり、弱い相互作用が時間とともにフレーバー固有状態の同一性を変えることを示している。

歴史的意義とCP対称性の破れ

カオンは、クォーク模型の発展と基本的対称性の研究で中心的な役割を果たした。その存在は、奇クォークのフレーバーに関する初期の証拠を与えた。1960年代には、中性カオンの崩壊が、驚くべき現象を明らかにした。すなわち、CP対称性(電荷共役CとパリティPの組み合わせ)は自然界で厳密には成り立たないということである。長寿命の中性カオンが、厳密なCP保存のもとでは禁じられるはずの最終状態へ崩壊しうることの観測は、粒子物理学と宇宙論に広範な影響を及ぼした大発見だった。

性質と相互作用

  • 質量と安定性: 奇クォークは上クォークや下クォークより重いため、カオンはパイ中間子より重い。カオンは不安定で、弱い相互作用によってより軽い中間子、レプトン、光子へ崩壊する。
  • ストレンジネス: ストレンジネスと呼ばれる量子数は強い相互作用では保存されるが、弱い崩壊では変化しうる。これにより、カオンの生成過程と崩壊過程を見分けやすくなる。
  • 実験上の特徴: 荷電カオンは検出器内に飛跡を残し、飛行時間とエネルギー損失の測定で識別できる。中性カオンは通常、崩壊生成物とずれた崩壊頂点から推定される。

科学的利用と注目点

カオンは、標準模型を検証するうえで今なお欠かせない道具である。まれなカオン崩壊や中性カオン混合の精密研究は、弱い相互作用のパラメータに制約を与え、標準模型を超える物理の手がかりを探る。カオンは加速器施設での高エネルギー陽子衝突で生成されるほか、二次的な宇宙線シャワーにも現れる。カオン研究は、CP対称性の破れに関するノーベル賞で認められた仕事へとつながり、宇宙における物質と反物質の非対称性の理解にも今なお寄与している。

中間子、クォーク、関連実験の背景については、入門資料や専門的な概説として 中間子の概説、素粒子物理学の基礎、クォークの概念、反粒子上クォーク下クォーク奇クォーク を参照するとよい。