「Money」は、イギリスのプログレッシブ・ロックバンドPink Floydの代表曲のひとつで、1973年のアルバム『The Dark Side of the Moon』に収録されている。楽曲はベーシストで共同リード・シンガーのロジャー・ウォーターズが作曲・作詞し、オリジナルのアルバムの2面1曲目に配置されている。アルバム収録曲の中で唯一、ビルボード・ホット100のトップ20に入ったシングルとなり(米国では最高位13位を記録)、商業的にもバンドの顔となった曲の一つである。特徴としては、拍子が7/4から4/4へと変化する珍しい構成と、曲冒頭や随所に挿入されるお金にまつわる効果音音で強く印象付けられている点が挙げられる。

背景と制作

「Money」はロジャー・ウォーターズが資本主義や富欲、物質主義を風刺して書いた歌詞が核にある。録音はEMIスタジオ(後のAbbey Road Studios)で行われ、エンジニア兼録音制作面で大きく関わったのはアラン・パーソンズ(Alan Parsons)である。パーソンズやバンドはテープ・ループや実際の効果音のサンプリングを駆使して、レコードならではのサウンド作りを行った。

拍子と楽曲構成

楽曲の冒頭リフは珍しい7/4拍子で演奏される(一般には4+3のグルーピングでカウントされることが多い)。この不規則な拍子感がリフに独特の揺らぎを与え、繰り返されるベースライン/ギターのリフが強いフックとなっている。中盤以降はギターソロでテンポ感・躍動感を高めるため一旦4/4拍子に移行し、ソロ後に再び元のリフへ戻る構成をとる。 主な参加メンバーはロジャー・ウォーターズ(ベース、ヴォーカル)、デヴィッド・ギルモア(ギター、リードヴォーカル一部)、リチャード・ライト(キーボード)、ニック・メイスン(ドラム)で、サックス・ソロはディック・パリー(Dick Parry)が担当している。

効果音と録音テクニック

曲のオープニングに聴こえる硬貨のチャリン、レジの音、紙幣のめくれる音などはテープループやサンプリングで配置され、曲全体のテーマ(「金」)を視覚的なイメージとして強めている。これらの効果音はただの装飾ではなく、楽曲のリズムと同期するように配置され、イントロのグルーヴ感を作り出す重要な要素になっている。

評価・影響・カバー

「Money」はアルバムの商業的成功を支えた代表曲として広く知られ、多くのラジオでオンエアされた。また数多くのアーティストによってカバーされ、映画・テレビ・CMなどにも断続的に使用されてきた。ライブでも頻繁に演奏される曲で、ロジャー・ウォーターズのソロ公演でも取り上げられている。

まとめ

「Money」は、独特の拍子感と入念に組み立てられたサウンドエフェクト、風刺に満ちた歌詞が一体となって生まれた楽曲であり、Pink Floydの音楽性と当時の録音技術が結実した代表作の一つである。リフの耳に残る強さ、サックスやギターのソロ、そして実験的な録音手法は、リスナーに強い印象を与え続けている。