概要
アステリダエは、被子植物のリンネ式亜綱として最初に用いられた歴史的な植物学上の名称である。分子系統学が広まる以前の古典的な分類では、形態的・化学的な共通点に基づいて近縁と考えられた一連の目と科を指していた。定義上、この名にはキク科(Asteraceae, Compositae)が含まれていた。20世紀後半以降はDNA配列証拠によって多くの階級群がクレードに置き換えられ、現在では「asterids(アステリド類)」、より限定的には「euasterids(ユーアステリド類)」という語が、旧アステリダエと広く重なる単系統群を示すために系統分類学で用いられている。
典型的な特徴
伝統的なアステリダエおよびアステリド類に含まれる植物は、草本の小型種から大型の低木や樹木まで、形態的に非常に多様である。いくつかの特徴はこの群にしばしば見られる。たとえば、多くの分類群では花弁が少なくとも部分的に合着した合弁花をもち、原始的な被子植物と比べて花器官が簡略化していることが多い。イリドイド化合物や各種アルカロイドなどの特殊な二次代謝産物は、いくつかの系統で一般的である。また、花や果実の構造には、送粉や散布に関連した収斂的な特殊化が見られる。こうした形質は群全体に不均等に分布しているため、現代の分類では単一の形態形質よりも共通祖先が重視される。
歴史的分類とCronquist体系
20世紀には、Arthur Cronquist によるものをはじめとする影響力の大きい分類体系で、Asteridae は正式な亜綱として扱われた。Cronquist の配列では、その階級の下でまとまりのある単位を成すと考えられた一連の目と科がまとめられていた。Cronquist の概念は、分子系統学が広く用いられて深い関係が明らかになる以前、植物誌や同定用検索表に実用的な枠組みを与えていた。
旧体系で Asteridae にしばしば含められた目
- Cronquist における Asteridae の考え方には、次のような目が含まれていた:
- Gentianales
- Solanales
- Lamiales
- Callitrichales
- Plantaginales
- Scrophulariales
- Campanulales
- Rubiales
- Dipsacales
- Calycerales
- Asterales
系統分類学(APG)への移行
20世紀後半に分子系統学的研究が始まり、続く被子植物系統グループ(APG)の各版で実装されるにつれて、かつて Asteridae に置かれていた多くの目や科は再編成された。APG体系(APG III 以降の更新を含む)では、「asterids」などのクレード名が用いられ、群はしばしば lamiids(euasterids I)と campanulids(euasterids II)という大きなクレードに分けられる。これらのクレードは、あらかじめ定められたリンネ式の階級ではなく、DNAデータから推定された共通祖先によって定義される。要約については、代表的な分子系統学研究を参照するとよい。
主要な科と経済的重要性
このまとまりには、よく知られた、また経済的に重要な植物科が数多く含まれる。多数の種類を含むキク科にはヒナギク類やヒマワリ類が含まれるほか、アステリド類に関連づけられる重要な科としては、ナス科(ナス類や多くの作物)、シソ科(ミント類や料理用ハーブ)、アカネ科(コーヒーや観賞植物)、リンドウ科(観賞植物や苦味成分を含む植物)がある。これらの科は、食料、薬用、繊維、香辛料、そして生態系サービスを提供しており、その研究は農業、薬学、保全の面で重要である。
分類上の注意と命名法
正式なリンネ式亜綱としての Asteridae は、歴史的・植物誌的な文脈では今も保持されることがあるが、現代の多くの分類体系では、進化的関係を反映するために階級を付けないクレード名が好まれる。この変化は、植物の命名法と分類が、形態に基づく階級中心の方法から、系統に基づく群へ移行してきたことを示している。必要に応じて、旧来の名称は伝統的な目や科を現在のクレードに対応づけることで、現代的な枠組みに移し替えられる。
実際上の意義と参考情報
植物学者、生態学者、教育者にとって、階級としての Asteridae とクレードとしてのアステリド類の違いは、主として古い文献と現代の系統総説を比較する際に重要である。識別や応用研究では、多くの伝統的なまとまりが地域レベルで依然として有用である一方、形質進化や多様化の研究では、分子データに支えられたクレードが用いられる。入門書や総説としては、植物誌や、下に示される主要な分子統合文献を参照するとよい。例として、Cronquist の Asteridae を扱う解説や、分子証拠に関する現代的な概説がある。