Uxbridge and South Ruislipは、グレーターロンドンの西部、ロンドン区ヒリングドン(London Borough of Hillingdon)に位置する英国議会の選挙区で、2010年に新設されました。郊外の住宅地と通勤者層が混在し、空路に近い地理的要因(近接する空港や軍用飛行場など)が地域の特徴となっています。
選挙史と代表
この選挙区は創設以来、伝統的に保守党勢力が強く、2010年以降は一貫して保守党が議席を保持しています。初代(創設以降の)議員はジョン・ランドールで、2010年から2015年まで務めました。続いて、ボリス・ジョンソンが2015年に当選し、以降この選挙区の代表を務めました。ジョンソンは2019年7月24日に英国の首相に就任し、首相就任期間は2019年7月から2022年9月まで続きました。ジョンソンはその後も同選挙区の議員を務めていましたが、2023年に議員を辞職し、辞職に伴って補欠選挙(=補選)が実施されました。
選挙の争点と投票動向
この選挙区は保守党の「安全選挙区」とまでは言えず、選挙ごとに票差が変動する「競合する郊外選挙区(marginal)」として注目されてきました。2017年総選挙では、当時の代表(ジョンソン)は最も近い対立候補に対して5,034票の差で勝利しました。この投票差は、現職の首相が保持していた選挙区としては1924年以降で最も小さい過半数の一つとして報じられました。
2019年総選挙では、主な対抗馬として労働党のアリ・ミラニ候補が挑戦しました。同年4月、シンクタンクのOnwardはこの議席を保守党にとって「脆弱(vulnerable)」と分類した一方、11月には世論調査会社YouGovがこの選挙区を「保守党の勝利の可能性が高い」とする見方に変わるなど、年内でも情勢判断が揺れました。
Brexit(EU離脱)と有権者の意向
この地域のEU離脱(Brexit)に関する支持傾向も注目されています。House of Commons Libraryの推定では、当選挙区における離脱(Leave)票は約57.2%とされ、比較的離脱支持が優勢でした。しかし、2018年8月にThe Observerが実施した別の調査では、世論が変化して51.4%の有権者がRemain支持に転じたと報じられ、住民の意見は一枚岩ではないことが示されました。こうした分断的な有権者構成が、選挙での接戦につながる要因の一つです。
2019年の注目候補とユーモア候補
2019年総選挙では、伝統的な主要政党候補に加えて、風刺やユーモアを前面に出す候補者も立候補しました。たとえば、人気の風刺候補であるCount Binfaceや、かつて幾つかの選挙で注目を集めたLord Bucketheadが名を連ね、選挙に彩りを添えました。また、候補者の一人であるWilliam Tobinは「無投票(uncontested)」を目指すとして注目されましたが、彼自身は15年以上海外に在住している駐在員であり、英国の現行制度では海外在住の有権者は最大で15年間までしか在外投票の資格を保持できないため、選挙で投票する資格を有していないという事情がありました。
地域の特徴と今後の見通し
Uxbridge and South Ruislipは通勤者層の多い郊外地域で、住宅地、商業施設、緑地が混在します。地理的・社会経済的に多様な有権者を抱えているため、国政の課題(医療、交通、住宅、地域経済、空港関連の影響など)が選挙の主要争点になりやすく、今後も与野党双方が注目する選挙区であり続ける見込みです。