ビタミンB12(コバラミン)とは:働き・重要性・欠乏症と主な食品源
ビタミンB12の働き・吸収(内在因子)・欠乏症の症状と主な食品源、補給法をわかりやすく解説する神経・血液の健康ガイド。
ビタミンB12(コバラミン)は、脳や神経系の正常な働き、そして血液の形成に重要な役割を果たす水溶性のビタミンで、ビタミンB群8種類のうちの1つです。
主な働き
- DNA合成と細胞分裂:B12はあらゆる細胞の代謝、特にDNAの合成と調節に必須で、正常な血球産生(赤血球)を維持します。
- 神経機能の維持:末梢神経や中枢神経の正常な機能に不可欠で、髄鞘(ミエリン)の合成にも関与します。
- 代謝反応への関与:脂肪酸やアミノ酸の代謝など、様々な代謝経路に関与します。特にメチオニン合成を介してホモシステインの代謝に関わり、循環器リスクに影響します。
化学的特徴と生産
ビタミンB12は、化学的に関連する化合物群(コバラミン類)で、中心に金属元素のコバルトを含む「コリン環(コリン様環)」を持つ非常に構造の複雑な分子です。ヒトの体内では必要な生理的形態(主にメチルコバラミンとアデノシルコバラミン)に変換されます。工業的には細菌の発酵を用いて大量生産されます(天然には主に微生物が合成)。
合成と食品源
ビタミンB12は植物や多くの真核生物(菌類、植物、動物を含む)では合成できません。実際に合成できるのは主として細菌と古細菌です。多くの動物は腸内細菌叢や摂取した食物を介して細菌由来のB12を得ます。野生の草食動物では、腸内細菌が一部を産生し、それを蓄えた肉や内臓を通じて食物連鎖に入ります。人の食事としては次のものが代表的な供給源です:
- 動物性食品:レバー、牛肉、魚(サーモン、マグロ)、貝類(カキ、ホタテ)、卵、乳製品(チーズ、ヨーグルト)
- 強化食品:ビタミン強化シリアルや栄養強化ミルクなど(ベジタリアンやビーガンにとって重要)
- サプリメント:シアノコバラミン、メチルコバラミンなどの形で市販
一部の海藻にはB12類似物質(アナログ)が含まれますが、ヒトでの活性が乏しい場合があるため、海藻のみで十分なB12を得られるとは限りません。
吸収の仕組みと欠乏の原因
経口摂取されたビタミンB12は胃でヘムやタンパク質から遊離し、まず胃酸と消化酵素によって分離されます。その後、胃壁細胞が分泌する「内在因子」に結合して回腸で能動的に吸収されます。そのため、自己免疫疾患である悪性貧血との関係からB12の重要性が発見されました:内在因子が不足すると吸収できずに欠乏を来します。
主な欠乏原因:
- 内在因子の欠如(悪性貧血)
- 胃切除や胃バイパス手術、萎縮性胃炎などによる分解・吸収不全
- 長期のプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカー、メトホルミンなどの薬剤による吸収低下
- 吸収部位(回腸)の病変(クローン病、セリアック病など)
- 長期の厳格なビーガン食(動物性食品を一切摂らない場合)、高齢者の胃酸低下による吸収不良
体内では肝臓を中心に貯蔵され、通常は数年分の貯蔵があるため、欠乏の症状が出るまで時間がかかることがあります。
欠乏症の症状と影響
- 巨赤芽球性(巨核性)貧血:赤血球産生の異常により貧血が起こります。
- 神経症状:手足のしびれ(感覚異常)、歩行障害、筋力低下、記憶障害、認知機能低下などが起こり得ます。重症化すると不可逆的な神経障害を残すこともあります。
- 精神症状:気分変調、抑うつ、集中力低下など。
- 高ホモシステイン血症を通じた心血管リスクの上昇(間接的)
診断と検査
診断には以下が用いられます:
- 血清ビタミンB12濃度:第一選択のスクリーニング検査だが感度・特異度に限界あり
- 血中メチルマロン酸(MMA)やホモシステイン濃度:B12機能低下のより敏感な指標
- 末梢血像(巨赤芽球の有無)、MCV増加
- 内在因子抗体や胃萎縮の評価:悪性貧血の診断補助
治療と予防
- 補充療法:欠乏症の治療には筋肉注射(ヒドロキソコバラミンやシアノコバラミン)を用いることが一般的で、急性期は毎週、その後は月1回程度の維持投与が行われます。内在因子欠損がある場合は生涯補充が必要です。
- 経口高用量療法:吸収が部分的に残っている場合、1,000〜2,000 µg/日程度の高用量経口投与で十分な吸収が得られることがあります。
- 予防:ビーガンや高リスク群(高齢者、胃切除後、長期薬物治療者)は、強化食品やサプリメントでの補給を検討します。妊婦・授乳婦は必要量がやや増えるため、医師と相談して適切に管理します(一般的な目安として成人で約2.4 µg/日、妊婦は約2.6 µg/日、授乳婦は約2.8 µg/日を推奨する指針が多いですが、国や機関により差があります)。
その他のポイント
- ビタミンB12には臨床で使われるいくつかの化学形態があり、代表的なものにメチルコバラミン、アデノシルコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンがあります。
- 工業的には微生物発酵によってのみ大量生産が可能で、天然においても主に微生物による合成に依存しています(原文同様、ビタミンは最も構造的に複雑なビタミンの一つです)。
- 早期に適切な治療を行えば血液学的な異常は可逆的に改善することが多い一方で、神経障害は進行すると回復が不完全になることがあるため、早期診断・治療が重要です。
以上がビタミンB12(コバラミン)の主な働き、重要性、欠乏症および主な食品源と治療に関する概要です。必要があれば、具体的な検査値の解釈や投与量、食品別の含有量表などを付け加えて詳述しますのでお知らせください。

メチルコバラミン(表示)は、ビタミンB12の一形態です。濃い赤色の結晶は、水の中で桜色の透明な溶液を形成します。

コバラミン分子。血液中での半減期はわずか6日ですが、肝臓での半減期は400日です。
質問と回答
Q: ビタミンB12は別名何というのですか?
A: ビタミンB12は、コバラミンとも呼ばれています。
Q: ビタミンB12は人体でどのような役割を果たしているのですか?
A: ビタミンB12は、脳と神経系の正常な機能、および血液の形成に重要な役割を果たします。人体のあらゆる細胞の代謝、特にDNAの合成と調節に関与していますが、脂肪酸とアミノ酸の代謝にも関与しています。
Q: ビタミンB12はどこで自然に見つけることができますか?
A: ビタミンB12は、細菌共生により、多くの食品に自然に含まれています。草食動物の腸内細菌叢の一部で生成され、それを肉食動物が食べます。藻類や植物も同様に共生から摂取することができます。
Q: ビタミンB12はどのようにして工業的に生産されるのですか?
A: ビタミンB12は、バクテリアの発酵合成によって工業的に生産されています。
Q: ビタミンB12はどのような元素を含んでいますか?
A: ビタミンB12は生化学的に希少な元素であるコバルトを含んでおり、コリン環と呼ばれる環の中心に位置しています。
Q: ビタミンB12はどのようにして発見されたのですか?
A:ビタミンB12は、自己免疫疾患である悪性貧血との関係から発見されました。
Q:吸収に必要な内在性因子が不足するとどうなるのですか?
A:吸収に必要な内在因子が不足すると、ビタミンB12が欠乏します。
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