Paul Davis Ryan(ポール・デイヴィス・ライアン、1970年1月29日生まれ)は、アメリカの政治家、共和党所属の元下院議員です。2015年10月29日から2019年1月3日までアメリカ合衆国下院の議長を務め、1999年から2019年まで米国下院議員を務めました。下院予算委員会の委員長も長年務め、連邦予算と財政政策に関する主要な提案者として知られます。

経歴と教育

ライアンはウィスコンシン州ジェーンズビルで生まれ育ち、1992年にオハイオ州のMiami Universityを卒業し、政治学と経済学の学位を取得しました。議員在職前は議会職員や政策スタッフとしての経験を積み、若手の理論家・実務家として頭角を現しました。

下院での活動

1999年に下院議員に初当選して以降、ライアンは財政赤字の削減、年金や医療制度の改革、税制の見直しを柱とする政策を推進しました。2011年から2015年までは下院予算委員長として複数の予算案(いわゆる「ライアン予算」)を提出し、歳出削減や社会保障制度の改革案を示しました。

2012年副大統領候補とその後

2012年の選挙では、共和党の副大統領候補としてミット・ロムニーの副大統領候補に指名され、全国的な注目を集めました(選挙は敗北)。その後も保守派の有力な政策立案者として活動を続け、党内で高い影響力を持ちました。

下院議長としての任期

2015年10月22日、ライアンはジョン・ベイナーの後任として、米国の議長に立候補すると発言し、10月29日に当選して議長に就任しました。在任中は、オバマケア(患者保護および医療保険負担適正化法)の改廃をめぐる下院での立法努力や、2017年の税制改革(Tax Cuts and Jobs Act)の成立において重要な役割を果たしました。議長としては党派間の調整、法案の優先順位設定、下院運営の指揮に責任を持ちました。

政策的立場

ライアンは財政保守主義を掲げ、長期的な財政均衡の達成を重視しました。医療保険制度や社会保障、税制について市場原理を取り入れた改革を提案することが多く、歳出の抑制と経済成長を組み合わせる政策を支持しました。一方で、彼の提案は社会保障や医療給付の削減につながるとして批判を受けることもありました。

引退とその後

ライアンは、2018年4月11日に議会からの引退を発表し、同年の中間選挙での再選には立候補せず、任期満了の2019年1月3日に下院を退任しました。引退後は公職を離れ、講演や執筆などを通じて政策や公共問題について発信を続けています。

私生活

ライアンは既婚で子どもが3人います。宗教はカトリックで、出身地のコミュニティと家族を重視する姿勢が知られています。