『シンデレラ』(Op. 87)は、セルゲイ・プロコフィエフが1940年から1944年にかけて作曲した全幕バレエの楽譜である。台本はニコライ・ヴォルコフが、シャルル・ペローの1697年の物語『サンドリヨン』をもとに脚色したもので、さらにシャルル・ペローによって広く知られた童話の伝統に連なっている。プロコフィエフの音楽は、叙情的な旋律、鮮やかな管弦楽法、そして舞台上の人物を描き分ける劇的な筆致を組み合わせ、作品のドラマティックな場面とコミカルな場面を支えている。
成立と初演
このバレエは第二次世界大戦中に完成し、1945年11月21日に初演された。初演の指揮はユーリ・ファイエルが務め、会場はボリショイ劇場だった。振付はロスティスラフ・ザハロフによるもので、主役のシンデレラはガリーナ・ウラノワが踊った。初演時からこの作品は、昔話らしい魅力と、ソビエト時代のバレエ制作に求められた表現上の要求とを併せ持っていた。
構成と音楽的特徴
プロコフィエフのスコアは規模が大きく、多彩である。叙情的なパ・ド・ドゥ、継母や姉妹、宮廷の人々を描く性格舞踊、場面転換を伴うアンサンブルの見せ場、そして筋の進行をはっきり示す劇的な場面が含まれる。作曲者は反復される主題と明快な管弦楽の色彩によって登場人物や情緒を描き分けており、たとえば優美なシンデレラの主題、姉妹たちのやや角張った素材、舞踏会をきらびやかに彩る響きなどがそれに当たる。いくつかの場面は、舞台振付に適した古典的な変奏、パ・ド・ドゥ、ワルツとして書かれている。
主な役と代表的な番号
- シンデレラ — 物語の主人公。表現豊かな独奏と親密なパ・ド・ドゥの両方で描かれることが多い。
- 王子 — バレエの主要なパ・ド・ドゥを担う。
- 継母と義姉たち — コミカルな場面やパントマイムの素材となる存在。
- 妖精のゴッドマザーと宮廷の人々 — 場面転換や華やかさを支える脇役。
のちにプロコフィエフは、全曲から抜粋した管弦楽組曲やピアノ編曲も作成した。3つの管弦楽組曲といくつかのピアノ小品集によって、この音楽は演奏会やリサイタルでも親しまれている。
上演史と評価
ボリショイ劇場での初演以来、このバレエは多くの劇団のレパートリーに入り、さまざまな振付家や演出家によって再解釈されてきた。上演形態は、ソビエト時代の原振付を忠実に再現するものから、異なるドラマ性を強調した現代的・様式化された版まで幅広い。その記憶に残る旋律と演劇的な多彩さの組み合わせにより、この作品はプロコフィエフのほかの主要な舞台音楽と並ぶ位置を確立している。
作品とその楽譜についてさらに知るには、『シンデレラ』の一般的な参考文献や上演史、プロコフィエフの作曲家伝、そしてボリショイ劇場のようなソビエト・バレエ機関に関する研究が役立つ。ニコライ・ヴォルコフによる原台本とペローの原典に関する研究は、各種上演における物語解釈を理解するうえでも有用である。