ヨーロッパのカナダ人(時々ユーロカナダ人と呼ばれる)は、ヨーロッパからの祖先を持つカナダ人を指します。国勢調査では祖先(ethnic origin)として自己申告するかたちで集計され、2011年の時点で、カナダには25,186,890人のヨーロッパ系カナダ人がいたと報告されています。
起源と歴史
ヨーロッパ系の人々の到来は複数の段階で進みました。短期的な接触としては北欧(ヴァイキング)の到達が知られていますが、定住と本格的な植民は15〜17世紀以降に本格化しました。初期の恒久的なヨーロッパ人入植者としては、初期の探検者や入植者の一部に加え、特にフランス人が重要な役割を果たしました。実際、エレーヌ・デスポータスは、新フランスで生まれた最初の「白人」として1620年に生まれたと記録されています。
その後、イギリス系、スコットランド系、アイルランド系、ドイツ系など多様な出身の移民が18〜20世紀にかけて多数流入しました。アメリカ独立戦争後のロイヤリスト移民、19世紀の農地開拓を目指した移民、20世紀前半のヨーロッパ各地からの移民波が、今日のヨーロッパ系カナダ人の基礎を作りました。こうした移民の歴史は、先住民族に対する土地の喪失や同化政策など、複雑でしばしば痛みを伴う影響とも不可分です。
人口構成(自己申告)
国勢調査での「祖先」回答は自己申告方式であり、時期や質問の仕方によって変動します。2006年の国勢調査では、ヨーロッパ系カナダ人の多くが以下のように報告されました。
一方で32.22%の回答者が「カナダ人」を祖先として答えており、これが英語やフランス語などの出自の割合を低めに見せる一因になっています。近年の国勢調査でも「Canadian」と自己申告する人が多く、混合系譜や世代を経た同化の影響が示唆されています。
宗教
伝統的にヨーロッパ系カナダ人の大多数はキリスト教徒です。内訳としては地域や祖先によって異なり、カトリック(特にフランス系や一部の移民系)、アングリカン(英国系)、ユナイテッド・チャーチ(United Church、複数のプロテスタントが統合した教派)、長老派やバプテストなどのプロテスタント諸派が主要です。少数宗教や非宗教の存在も多彩で、国勢調査や社会調査では宗教的無所属・無宗教(世俗化)の割合が増えている傾向が見られます。
また、ヨーロッパ系カナダ人の中には伝統的なキリスト教以外の信仰・身分として、少数のユダヤ信者(人)、無神論者や者、イスラムの信徒(教徒)、バヒー、異教徒、ウィッカ、ユニテリアン・ユニヴァリアン・ユニバサリストが含まれることがあります(これらは少数派で地域差があります)。
言語と文化
主要な使用言語はもちろん英語とフランス語を中心に、両言語はカナダの公用語として社会全体で重要な役割を果たしています。加えて、ドイツ語、イタリア語、ウクライナ語、ポーランド語、オランダ語など、各移民集団の母語(ヘリテージ・ランゲージ)が地域コミュニティ内で維持されてきました。
文化的にはヨーロッパ系カナダ人はカナダの政治制度、法律、教育、宗教行事、祝祭、食文化、建築など多くの面で影響を与えてきました。同時に、第二次世界大戦後以降の多文化主義や現代の多様化により、単一の「ヨーロッパ系」的文化像は薄れ、混交・融合が進んでいます。
地域分布
地域ごとの特徴としては、ケベック州ではフランス系の比率が高く、大西洋州(ノバスコシア、ニューブランズウィックなど)はスコットランド系・アイルランド系の影響が根強いです。オンタリオ州やブリティッシュコロンビア州、マニトバ・サスカチュワン州などはイギリス系や多様なヨーロッパ系移民を多く抱え、プレーリー地方ではドイツ系やウクライナ系のコミュニティも重要です。
備考
「ヨーロッパ系カナダ人」というカテゴリーは幅広く、時代や調査方法によって定義や把握のされ方が変わります。国勢調査の「祖先」項目は自己申告に基づくため、複数回答、混合祖先、世代を経た「Canadian」自己同定などが結果に影響します。最新の詳しい数値や傾向を確認する際は、Statistics Canada(統計カナダ)など公式の国勢調査報告を参照してください。