バハー信仰は、イランのテヘランで生まれたバハー・ウラーというイラン人によって1800年代に始められたアブラハム教の宗教です。信者は一般にバハイ(バハー信徒)と呼ばれます。アラビア語で「神の栄光」を意味する名前を名乗ったバハー・ウラーは、自らを神の顕現(神のメッセージを人々に伝える存在)の一人と位置づけ、教えと多数の著作を残しました。
起源と歴史の概要
バハー信仰は19世紀のペルシア(現在のイラン)で展開しました。発端はバーブ(Báb)という宗教改革者が1844年に宣言した運動で、バーブは来るべき新しい啓示者の到来を予告しました。その後、バハー・ウラー(本名ミールザー・フサイン=アリー・ヌーリー)はバーブの教えを受け継ぎ、1863年(あるいはそれ以前のある時点)に自らが神の顕現であると公に宣言して、バハー教の中心的な教えを広めました。バハー・ウラーの生涯と著作は信者にとって聖典的な位置を占め、代表的な著作に『キターブ・イ=アクダス(最も神聖な書)』や多数の書簡・祈り集があります。
基本的な教義と信条
バハー信仰の主要な教義は次のとおりです。
- 一神教:唯一の神を信じます(一神教)。
- 宗教の一致(進歩的啓示):モーセ、イエス、ムハンマド、ブッダ、クリシュナなど過去の宗教指導者(イエス、モーゼ、アブラハム、ムハンマド、ブッダなど)とバハー・ウラーを同じ一連の「神の顕現(マニフェステーション)」とみなし、宗教は時代ごとに段階的に与えられると教えます。
- 人類の一致:人種、民族、宗教、国境を超えた人類の一致と世界平和を理想とします。
- 科学と宗教の調和:真理は科学と宗教の両面から探求されるべきだとします。
- 男女平等・教育の普及:男女の平等、義務教育、経済的不平等の是正など社会改革を重視します。
- 宗教指導者の顕現:神を直接完全に知ることはできないため、神は時代ごとに人間の形で啓示を与える顕現者を送ると教えます。バハー・ウラー自身は、自分がその顕現者であると宣言しましたが、彼は「最後の預言者」ではなく、彼の死後少なくとも1000年は新たな顕現者は現れないと信じられています。
信仰生活と制度
バハー信仰には聖職者(クレルジー)はおらず、民主的に選ばれる行政機関が宗教共同体を運営します。地域レベルではローカル・スピリチュアル・アセンブリー(地域集会)が組織され、国レベルではナショナル・スピリチュアル・アセンブリー、国際的にはチューリッヒに拠点を置くユニバーサル・ハウス・オブ・ジャスティス(世界本部)が最高機関として機能します。
礼拝や祈り、宗教行事としては、毎月の「十九日会(ナインティーン・デイ・フェースト)」や、19ヶ月×19日で構成される固有の暦(バハー暦)、および19日間の断食月などがあります。また、個人や集団での祈りや聖典の朗読が奨励されます。
聖典と著作
主要な聖典にはバハー・ウラーの著作が含まれ、特に『キターブ・イ=アクダス』(法の書)、『キターブ・イ=イグラース』(王の書)などが重要視されます。さらに、バーブや後継機関の書簡、集会での決議なども教義と実践の基礎になっています。
現代におけるバハー信仰
バハー信仰の信者は世界中に広がっており、各国で教育・社会福祉・地域社会の統合や平和推進に関わる活動を展開しています。一方、発祥の地であるイランでは宗教的・政治的理由から長年にわたって弾圧や迫害を受け、多くの信者が国外へ移住しました。
補足(用語と注意点)
本文中で用いた用語について:
- 「神の顕現(マニフェスト)」は、バハー信仰における特別な宗教指導者を指します。
- 本文中の各種名前や年代は概説であり、詳細や学術的な年表は専門書やバハー教の公的資料で確認してください。
以上はバハー信仰の概要であり、より詳しい歴史・教義・実践については、信頼できる一次資料や学術的解説を参照することをおすすめします。



