フェタチーズ(ギリシャ語:φέτα、女性名詞、発音:[ˈfeta])、または単にフェタは、チーズの一種で、一般に塩味が強く、白くてやや崩れやすいテクスチャーが特徴です。通常は、羊や山羊の乳から作られ、ギリシャ本土やギリシャの諸島(伝統的にはエーゲ海の島々を含む)で長く生産されてきました。伝統的な産地としては、北部や中央ギリシャ、そしてレスボス島などが知られています。
語源はイタリア語の「fetta(薄切り)」に由来するとされ、ギリシャ語でφέτα(フェタ)は「薄く切ったもの」を意味します。日常的にはサラダや焼き料理、パイ類などに使われ、ギリシャ料理を代表する食材の一つです。
原材料と特徴
伝統的なフェタは主に羊乳で作られ、風味の調節や地域の慣習により山羊乳が混ぜられることが多いです。EUの規格では、羊乳が主体で、山羊乳は全乳中の最大30%まで混ぜられることが認められています(ただし正確な比率や規格は産地や認証によって異なる場合があります)。見た目は白く、断面はややポロポロと崩れる性質で、風味は酸味と塩味、羊乳由来のコクが感じられます。
製法の概要
- 加温した乳に凝乳酵素(レンネット)とスターターカルチャーを加え、凝固させます。
- 凝乳を適度な大きさに切ってホエー(乳清)を分離し、型に入れて圧して水分を抜きます。
- 塩漬け(塩水=ブラインに浸漬)して熟成させます。ブラインでの熟成により塩味が付くとともに保存性が高まります。
- 伝統的なものは数週間から数か月ブライン熟成され、風味と食感が整います。EUの原産地名称(PDO)規格では一定の最低熟成期間などの要件が定められています。
名称保護(PDO)と法的状況
欧州連合内では「Feta(フェタ)」は原産地名称として保護されており、ギリシャ以外で伝統的な原材料や製法に従わずに生産されたチーズを「Feta」と称することは認められていません。2005年10月25日の欧州司法裁判所(ECJ)判決(C-465/02およびC-466/02)は、その法的位置づけを支持する重要な判断でした:その他のチーズ(通常、ギリシャ産ではなく、牛の乳から作られているもの)は、2007年からFetaと呼んではならない、という解釈を含んでいます。
この保護はEU域内で有効ですが、世界貿易機関(WTO)加盟国の多くでは「feta」が一般名として用いられ続けている場合があります。国際交渉(例:ドーハ・ラウンド)では、EU側がこうした地理的表示の保護を強く求めてきました。結果として、国や地域によって「フェタ」の扱いは異なり、輸入表示や商品名に関するルールも多様です。
類似品と名称の違い
トルコやバルカン諸国などには、味や製法が似た白い塩漬けチーズが多数あり、トルコでは「ベヤズ・ペイニール(beyaz peynir)」と呼ばれます。これらはそれぞれの地域の乳種・工程・塩分や熟成の違いにより風味が異なります。EU域内ではギリシャ産の要件を満たす製品だけが「Feta」と呼べる点が大きな差です。
料理と使い方
- 代表的な使い方:ギリシャサラダ(ホリアティキ)、スパナコピタ(ほうれん草のパイ)、サガナキ(チーズのフライ)、オーブン料理、焼き野菜のトッピングなど。
- 味の特徴を生かすために、崩してサラダに散らしたり、オリーブオイルと合わせて前菜として出したりします。
- 熱を加えると風味が濃くなり、料理にコクを与えますが、長時間高温にさらすと溶けにくく崩れる性質があります。
保存方法と栄養面の注意
- 一般的にはブライン(水塩液)に浸した状態で販売・保存されます。開封後もブラインに戻して冷蔵保存すると風味と食感を保ちやすいです。短期間ならオリーブオイルに漬けても風味が増します。
- 塩分が高めのため、塩分摂取に注意が必要です。蛋白質やカルシウムは豊富で、料理の風味付けとして適量を使うのがよいでしょう。
代替品
料理や地域の流通状況によっては、フェタの代替として次のようなチーズが用いられます:
- 羊乳や山羊乳の白チーズ(トルコのベヤズ・ペイニールなど)
- 一部のフレッシュチーズ(風味や塩気で近づけることが可能)
ただし、EU域内で「Feta」と表示することは規制されている点に注意してください。
まとめると、フェタはギリシャの伝統的な白い塩漬けチーズで、羊乳主体の風味とブライン熟成による独特の塩味・酸味が魅力です。EUでは原産地名称として保護されており、名称の扱いは国や地域によって異なります。

